こんにちは。相武台脳神経外科の加藤貴弘です。今日は、平成27年の5月2日の土曜日です。ゴールデンウイーク中は天気が良いですから、外で子どもさんが遊んで怪我をされて、当院に来院される方もいらっしゃいます。
遊ぶ中で、お父さんやお母さんによく伺う質問の中に、傷口を家に帰ってから消毒しなくて良いのですかという話を伺うのですけれども。傷口に関しては、今は消毒という行為は行なっておりませんので、特に家に帰ってから必要なことは、清潔に水で流して洗って、清潔にして頂くというだけで大丈夫だと思います。
私が小学生の頃というのは、傷が擦過傷や何か傷が出来た時には、消毒するというのは一般的だったのですけれども。良く小学校の保健室には、消毒セットというのがあって、みんなで怪我をしたらそこに行って消毒をやっていたのですけれども。昔と比べて、傷に対しての考え方というのは、まるっきり変わっています。消毒に対して、そもそも何で消毒をしていたのかというと、傷口にばい菌が入って、感染を起こしたり膿んだりしないようにするために消毒をしていたのですが、そもそもなんで感染を起こすのかということなのですけれども。
感染を起こす際、感染を起こす時に考えられているのは、良く血流がある組織であれば、組織1グラムあたり10万個のバイキンがないと感染は起こらないと。細菌がいないと、10万個の細菌がいないと、感染はしないということは言われています。それに対して傷口に、例えば、血流がない組織。かさぶただったりゴミだったり、何かその血の通っていない組織が、汚く生きていない組織があった場合、その組織が1グラムあった場合、感染数は200個のばい菌で感染すると言われています。
そもそもその身体の皮膚の上には、常在菌。通過菌も含めて、細菌やバイキンというのは、常時たくさんいるわけですから。完全な無菌状態にするということは、そもそもが無理なわけです。そして、私たちはバイキンから感染を起こさないようにするために、どうしたら良いのかというと、環境を整えるということに、考え方をシフトさせています。
生きた組織であれば、綺麗な傷口であれば、組織1グラム あたり、ばい菌が10万個ないと感染しないわけですから。例えば、そこに汚い組織、血流がなくて生きていない組織があった途端に、10万個に対して、200個だけのバイキンで、感染してしまうわけですから。
じゃあ、どういう風に考えれば良いのかと言うと、傷口から血流がない、汚い壊死物質だとか、かさぶただとか、ゴミだとか。そういうのを取り除いてあげれば、そもそもほとんど綺麗にしてあげていれば、感染は起きないという考え方になっていまして。その傷口の管理としてましては、その消毒液をつけるというよりも、綺麗に清潔に保つ。洗浄する。あるいは、その壊死物質を取ってあげるということに、考え方としてシフトしています。
しかも、その消毒液というのは、傷口の側面というのを痛めてしまいますから。創傷治癒のスピードを、極端に遅らせてしまうので。そういった意味で、傷口に対しては、消毒するという行為が無意味であるというだけではなくて、害になるということが、今の時代、ある程度、意見の位置を占めていますので。通常は、消毒という行為は行っていませんので。そのことに関して、今日は、お話しをさせて頂きました。
ちなみに、怪我をした際に、感染予防をするために、抗生剤とかを出してくれませんかというお父さんやお母さんもいるのですけれども。感染はしていない傷口だったり、あるいは、その何か動物に噛まれたような傷口でなければ、通常は、今は抗生剤も出しておりません。それは、特にその抗生剤を出すことに意味がないからであって。当院では、特にその予防的な、その感染予防目的で抗生剤を出すことも特にはありませんので、今日は一応、
そのことも付け足して、お話しをさせて頂きたいと思います。今日は、傷口に関して、昔は清潔に保つために消毒をするという行為を行っていましたが、今は行っていませんよという話を、お話をさせて頂きました。今日は、以上です。
相武台脳神経外科
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