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ハイパーサーミアを取り入れたがん治療 症例 照沼裕先生 第7回

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《照》 もう一つ、さっきその免疫力を高めてやればという話をしましたが、オプジーボなどでわかっているデータとしては、どうも副作用が出る人ほどオプジーボも効いているとか。そういう事が、論文として発表されていますね。したがって、免疫力がより働くようにしてやればやるほど、効果がでる可能性は高くなるけれど。その分、激しい副作用が出る危険性も高くなる。

《加》 怖いですね。

《照》 という様ね事が、やはりあるという様な事は、考えておく必要があるという事で、免疫細胞療法をオプジーボと一緒に併用してやる時には、厚生労働省の課長通達と言うのが出ていて、強い免疫反応が、副作用が出る可能性があるので。より通常よりも、厳しい色々なチェックやフォローをした様なものでないと、やるのはよろしくないですよという様な通知が出ていて。その為に、そういった物を作る時には、色々ですね。通常以上にチェック項目を沢山、副作用が出ていないかという事をする必要があるという風な形にはなっています。

《加》 じゃあ、オプジーボを使っている人は、なかなか難しいですね。免疫細胞治療をクリニックレベルでするのは。

《照》 沢山チェックをして、もちろん主治医の所でもチェックをしているんですけれど、ダブルチェックでこちらでもチェックしながらという様な事を、より慎重にやらないと、こういう副作用が効果も出やすいだろうけれど、副作用も出やすくなるかもしれないという事で十分注意しなさいよいう風な事が言われております。

 実際に、ハイパーサーミアや免疫細胞療法をやって、どんな効果があるかなという様な自験例をご紹介しますけれども。考え方としてはさっき言ったように、攻撃力を高めて免疫の働きを邪魔している物を抑制するという様な治療法をやっていくわけですが。

 今は、そういった事で、事件例の一つとしては、進行性のですね。ステージ4の肺癌の患者さんの時に、免疫細胞療法。それから、ハイパーサーミア。これを、通常の治療にプラスアルファーして。通常の治療法は、それぞれ主治医の先生の所でやっていますから。それにプラス、我々の所で、免疫療法やハイパーサーミアをプラスアルファーしている所ですけれども。それと、そういった人達を、約70人くらいですね。集めています。76例という事で、それで実際に、その人達が何回くらい免疫療法をやったのかなというと、沢山やった人もいる、免疫の投与の回数ですけれども、中央値は6回です。この下の軸ですね。

 そして、入れた細胞はこういった細胞が入っているところで、NK細胞を中心に、他のプラスアルファーや樹状状細胞が入ったりしています。患者さんによって、樹状細胞は49例で入っていたんですけれど、NKは76例、74例に入っています。それじゃ、その人達は、ハイパーサーミアに何回くらい受けたかなと言うと、大体、中央値で10回ということで。10回くらい受けていると。そういった患者さん達が、どんな風になったかというと、この赤い線ですね。赤い線がハイパーサーミアと免疫細胞療法をプラスアルファした、ステージ4の人達ですけれども。通常の5年生存率が約20%ありますから。ヒストリカルな通常の状況ですと、5年生存率がステージ4だと、7%くらいなので。非常に良いサバイバルのパーセントかなという風に思いますし、後は、50%の人が生きている、生存期間の中央値というのが、通常ですと10ヶ月くらいなのが20ヶ月くらいと言うことで。やはりプラスアルファーで、環境を整えてあげることで効果がずっと高くなるのかなと。

 面白いのは、初めはあんまり差がつかないんですね。数ヶ月の間は。それがだんだん、差がついています。約3年くらいの所からは、20%横ばいになると。ある意味、オプジーボも3年くらいの所から、20%の横ばいでしたから。この人達は、一切オプジーボを使った人はいらっしゃらないので。比べている人達が違うので、厳密なことは何も言えないんですけれど。似たような現象は色々見られるという事で、オプジーボと合わせてやれたらもっと良いのかなという風に思いますし。

《加》 3年生存できたら、とりあえず抜けられる可能性があるという事ですね。

《照》 そうですね、はい。

《加》 この、3年経っても下がって行くのと、横のとあるんですね。

《照》 はい。オプジーボでも言われていた事ですけれども、同じような現象がみられると。

《加》 オプジーボとやると、これは免疫力が上がるので、逆に生き残った副作用が結構きつそうですね。

《照》 そこは本当に表裏で、生存率は高くなるけれど、副作用が出てきて。その副作用を制御する為に、場合によってはストロイドか何かを使わないといけないから。もしかすると、この免疫の音効果は下げられちゃって、高くなるはずのがどうなるかという事はやはり、副作用を見てみないと分からないと。

《加》 そうですよね。制御する為のステロイドですけれどね。

《照》 そうですね。ですから、本当に表裏の感じで難しいなと思います。そういった、治療の一例ですけれども、85歳の男性の方で肺腺癌で、腫瘍と胸水があって。それからあとまぁ、色々と他の病気も色々あるので、通常の治療は出来ませんねという事で。

 だけど、何かね、元気出し。試したいという様な事で、紹介されてきて。それで、毎週ハイパーサーミアをやりながら、免疫細胞は3週間にいっぺん。その間の週に、ゲムシタビンという抗がん剤を、通常の半分量くらいの量ですね。点滴してあげるという事で、抗がん剤、抗がん剤、免、疫抗がん、剤抗がん剤、免疫で。そこには全部、ハイパーサーミアを重ね合わせるという事でやってあげたらば、3ヶ月間くらいで。ここの腫瘍がちっちゃくなってですね。

 この後、2年半、免疫は途中でやるのをね、やめちゃって。抗がん剤に頻度もどんどん減らしても良い状態で、ずっと元気で過ごされて。最後は、誤嚥性の肺炎で亡くなってしまいましたが、良い反応が起こった人もいる一例です。

 今度は肺がんでなくて、ステージ4の膵臓癌ですけれども。膵臓癌でもやはり、50%の人が生きている中央値というのが、通常だと6ヶ月間くらいなのが、免疫療法とハイパーサーミアをやってあげると、一年を超えて長くなる。それから、1点での生存率が、通常だ20%切っているのが、50%を超えるくらいになると。という事で、上手く免疫力をプラスアルファーしてあげる。そして、温熱療法をプラスアルファーしてあげるという事で、より長生きになってくれると。

 これは、膵臓癌で膵臓癌と多発性の肝転移と。やはり85歳の男性の方ですけれども。

《加》 結構、皆さんご高齢ですね。

《照》 そうですね。なので、通常の治療があまり出来ないという事で、相談にいらっしゃっていると言うケースが結構あるんですけれども。それで、そういった方に、ハイパーサーミアは毎週。それから、この方は免疫療法は2週間にいっぺん。それから、ゲムシタビンという抗がん剤を半分量位を2週間にいっぺん、互い違いに入れて。それで、3ヶ月後に見てみると、膵臓癌はほとんど、見えなくなってですね。それから、肝臓転移も無くなったという事で、非常に良い反応をする方達もいらっしゃると。これは、ちゃんとこういったデータがね、ありますけれども。ご高齢の人だとやっぱり、副作用が出ない程度という事が前提になっての治療になりますから。それでもこういった事で、良い反応をされる方がいらっしゃいますから。

 あとはまぁ、こういった治療をする時には、抗体医薬品と一緒に組み合わせると、良い結果が出る方もしばしばいらっしゃって。それは、抗体の抗原を認識するヴァリアブルリージョンという所の他に、こちらに、いつもコンスタント領域というのがありますから。そこの FC2条に対するレセプターは、NK細胞を持っています。従って、抗体のお薬を使って、抗体の薬はがん細胞にくっついてる所で、NK細胞が入ってくると。抗体を目印に、そのがん細胞を見つけて攻撃すると。

 すべての抗体医薬品が、こういうのに対応できるわけじゃ無いんですけれども。一部の抗体薬品については、こういったメカニズムで、癌をやっつける事ができますよという事で、そういったコンビネーションの一例ですけれども、これはまぁ、60歳の女性で乳がんの手術後で、本当に多発転移です。この黒いポチポチポチとなっているのがスキャンで見えますけれども。骨に転移してるし、リンパ節に転移してるし。肺にも肝臓にも、副腎にも転移してる状態で。そういった状態で、ハーツーといった分子が陽性だったので、抗体医薬品があるという事で、抗体医薬品を一回ポンと入れて。

 そして、短期間に免疫細胞を集中的に入れています。そして、温熱療法も短期間にポンポンポンとやってあげる事で、でこういう状態だった人がこういう風に、7週間くらいでほとんどの癌が見えなくなって。一部残っている所はありますが、もう3人になりますけれど、まだ癌は残っていますが、普通に生活をしていらっしゃると。そう言う様な方もいらっしゃいます。

 それから、放射線との併用となると、非常に良いのかなと思いますけれど。これは50代の女性の方で、卵巣癌の手術の後、腹膜播種を起こしてきてですね。そして、その腹膜播種の一部からは、手術を伝わって皮膚の所に癌が出てきて、こうジュクジュクとしてしまったので、ジュクジュクした皮膚の所だけに放射線をかけて。その後、我々の所に来て、ハイパーサーミアをこの局所と、放射線ジュクジュクした所ですね。そこに、受容細胞というのを注射しながら、全身的にはNK細胞を入れて。7ヶ月後には、この皮膚の所の転移と、そこに繋がっていた腹膜播種が消えてますし。

 後は、全然違うレベルに合った腹膜播種も消えていたと言うことで、放射線の治療の領域では、よくアブスコパルエフェクトと言って、放射線をかけた所以外の癌も消えちゃうような、そういう現象として報告されていますけれども。免疫力がうまく誘導されて、それで他の部分まで消えたんだろうという風に考えられています。

《加》 面白いですね。

《照》 後は、緩和医療での効果という様なことで。何も他の治療が無くなってしまったという風なことで、相談にいらっしゃる方がしばしばいらっしゃって。それから、そういった他には、免疫療法や温熱療法、体力とあと経済的な面も考えながら、対応したりして。中には、うんと副作用が強くて抗がん剤を全く辞めてしまったなんて言う時には、少量にした抗がん剤をプラスアルファーしたりしてあげますけれど。そういうことで見てみると、数ヶ月も経ってもですね。それと治療で、本来はどんどんどんどん癌が進んじゃうはずの人達が、1/3くらいの人は更に癌がちっちゃくなってきたりですね。後は、1/3くらいの人は癌の進行が止まってたりして。ある程度、治療法が無くなってしまったよという場合でも、癌の進行を極めてゆっくりにする事が出来るという風なこ事を経験しています。

 今まで、色々癌の免疫を使った治療という様な話をしましたが。今は、標準的な治療法と言われる外科的な治療、化学療法や放射線についてもですね。その中で、例えば外科的な治療であれば、ダヴィンチを使った治療とかですね。それから、化学療法であればより沢山の種類の分子標的薬というのを、遺伝子マーカーの遺伝子解析を組み合わせて治療をするとかですね。放射線については、サイバーナイフはじめ陽子線治療とか。それから、BNCTとかですね。新しいタイプの色々な治療法が次々と出来てますので、そういったものを上手く組み合わせながら、それと同時に、今日話してきたような免疫力を上手く使う、免疫細胞療法やハイパーサーミアをですね。そういったものを上手く使いながら、コントロールするようにすると、今までよりさらに良い、一人ひとりにマッチしたより良い治療法を考えていく事が出来るんじゃないかなという風に考えています。

 先程もちょっと言いましたけれども、例えば、免疫療法。免疫細胞療法とハイパーサーミアでですね。組み合わせて、一組6ヶ月間からやると200万円くらいかかるのは、我々の所でのアレンジですけれども。もっともっと良い治療を上手く組み合わせて、もっともっと良い案がね、出てくると良いなという風に思っています。考え方は、このバランスをいかに整えるかという事かという風に思っています。

《加》 保険診療で、軸の治療を大きい病院でやる。そして、その周辺のクリニックだとか医療機関が、それで良い進路でサポートするというのが、法律的にも役割分担、治療的にもきちんと役割分担できて。タックを組めれば、かなり可能性のある治療が出来るという事ですよね。

《照》 そうですね。主治医はやはりきちんと持って頂いて。そこで標準的な、もしくは保険診療というものをきちんと受けて頂いて。プラスアルファーで、サポートが出来る事を、こちらで加えさせて頂くという風な事が、制度上も可能な方法かなという風に思います。
《加》 そのサポート出来る事に関しては、色々な情報が溢れていると思うんですけども、ちょっとずつデータを出しながら、ある程度信頼できる情報を発信させて頂けたらと思います。

 今日は長い間、どうもありがとうございました。

《照》 かえって、どうもありがとうございました。

相武台脳神経外科
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