《 加 》 相武台脳神経科外科の加藤貴弘です。今日は、チャンネルSに、デフレの正体と里山資本主義を書かれた、藻谷浩介さんをお招きしてお話を伺います。当院では、健康を考えていくうえで、まずは体の声を聴き続けましょうという根本的な事に関して、お話しさせて頂いていますけれども。
藻谷さんご自身は、社会に対して元々、私たちはどういった社会を作った方が良いのかという根本的な事に対してのお話を、この2冊の本でさせて頂いているので。結局、社会に対しても体に対しても、言いたいことは一緒なのだという事を、今回のお話しで皆さんにお伝え出来ればなと思います。今日はおそらく、非常に面白いお話しが聞けると思いますので、どうぞ、よろしくお願い致します。
《 藻 》 現に日本の消費者が、日本製品よりも外国製品を買うという奴が相当いるのですね。だから、日本は赤字になる。
《 加 》 そうですよね。
《 藻 》 そうなんですよね。だから、これがおかしいのです。本来、日本の消費者が分かるのだから、日本のメーカーはもっと質感をアップしないといけない。セイコーとかシチズンは、もっと内部まで作れるのだから、質感の高い手作り道具で作らないといけない。
TOYOTAがプリウスを作った様に、やはり自ら電気自動車も作る様に、セイコーやシチズンだってクォーツじゃなくて、手巻きや自動巻きで質感の高い時計を、本当はもっともっとブランドアップして作らないといけない。ところが、そこでスイスに負ける。これね、何て言ったら良いのかな。要するに、手段ばかり見ていて目的を見失った典型なんです。
つまり、経済成長しなさい。売り上げを上げなさいと言われて、その時にふと安売りで、安くて性能が良い物を売るのだという風に走ったら、成長するという事を忘れて、安くて性能が良い物を作るのですという、一次元下の話が目的になる。そればかりをやっていると、高くて質感のある物を作るという目標から落ちるのですね。そこから外れていくと、結局、経済が成長しない。
今、スイスはですね、スイスフランのままです。ユーロに入っていない。周り中ユーロなんですね。スイスは独立国だけれど、国境検査は無いので。克、フランスとドイツとイタリアの一部分が勝手にスイスになって、700年経っているのだけれど、言葉はイタリア語とフランス語と7割りはドイツ語ですね。
隣にいるからスイスなのですよ。この相武台前病院前に行きますと、相武台駅から座間市から突然、一本向こうの道で相模原市に入るのですけれども。こんなもの誰も気が付かないのですけれども、それと同じくらい、ここがいきなり国境ですと、町の中に国境が引かれている。で、道を越えた瞬間にスイスフラン。物価が高い。スイスフランだけで、物凄く物価が高い。道を越えるとユーロ。フランスだったりドイツだったり、物価は安い訳ですよ。
普通の社会で考えると、そんなもの競争力無くなるでしょう。特にスイスは、国際競争力相変わらず世界で一位だと言われている訳ですね。そして事実、日本という様な国に対しても黒字です。スイスフランがクソ高いのに。なぜかというと、元々高くても売れる物しか作っていないのですもの。
そして、高くても売れる物を作って国民に世界一クソ高い給料を払うという。そうすると、それに対して国民がその給料で、高いスイス製の物を自ら、強制されている訳でもないのに買うと。
《 加 》 そこはじゃあ、国境で壁を作る必要は無いのですね。
《 藻 》 道を一本越えれば現に、国境を越えられてしまうので。フランスで安い物を買ってこれるのですよ。
《 加 》 でも、スイスの物を買う。
《 藻 》 買いたがる奴が沢山いるもので。その結果としてスイスは、国際競争力が強く成り立っているのですね。
《 加 》 本当に、本物だという事ですね。
《 藻 》 そうです。それに対して、円安で日本の産業を安くして救うなんて言っているのは、スイスから見ると何を言っているのかという様な訳です。
《 加 》 本物を求めていないというか。
《 藻 》 消費者は本物を求めているのに、供給者側が分かっていないという事なのですね。その彼らの言っている、実際にスイスは経済成長をしている。20年前に日本が一人当たりのGDPが世界一で、スイスの方が低かったのですけれども。20年位経ってみると、スイスは日本の2倍くらいまで行っているわけですね。実際に経済成長しているのですね、彼らはね。日本はその間に、経済成長するするぞと言って、まったくしなかった訳です。
そのあたりの事を、「藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?」という、全く売れない本に書いてある。これは、3時間で読める本ですけれども。これは対談の記録なんですけれども。これは今読み直してみると、非常に良く出来た対談だと思います。
ある宗祖の、経済成長なんてしなくて良いですという事を言っている本では無くて。スイスみたいに、別に経済成長する国もあるわけですよ。で、アメリカみたいに成長しているというけれど、一向にハッピーにならない国もあればね。ハッピーになる国もある。で、日本はどうなのか。しなくてたってハッピーになれるのだけど。したいとすればどうしたら良いのか。何が違うのか。
本来、一言で言うと、そもそも僕たちの目的はいったい何なのか。最初に、どう捉えられるのか。何の為に成長するのですかという。それが、一言で言うと、僕たちが幸せに自己実現出来るのであれば、その為には必要。無くとも自己実現出来るんだから。経済成長をしなくてもね。人によりますね。
だけど、兎に角目的は、楽しく生きていく事で。その為の手段として、経済成長はある範囲でやる必要がある場合はしてくださいと。それ自体は、目的でも何でもありませんよという事を、ここに書いてある。
《 加 》 目的がしっかりすれば、民主的に経済成長はしっかりするのですよね。本物であれば。
《 藻 》 今のスイスの話であれば、そういう事なのですよね。本物であるとするのですよね。だからもう、イタリアがじゃあしているのかというとね、イタリアの国としては非常にがったんがったんでね。経済成長はあまりしていないし、社会が崩壊してもおかしくは無いのですが、イタリア人って一言で言うと、社会全体はがったんがったんですけれど、非常に楽しそうに暮らしている人が多いのですね。
彼らに関して言うと、さらにその次に、経済成長しないかもしれないし、国が滅びるかもしれないけれど、俺たちなんてローマ帝国も滅びているのだけれどさ、六十路でめちゃくちゃにやってやったしさ。大体もう、ルネサンスの時から考えてみるともう、何百年経っているけれど。まぁ、良く考えてみるとあの時の事全然尊敬されていないし。偽物ファンクションの典型みたいに言われているけれど、実はローマ帝国の時代から2000年わりにハッピーに生きているぞと。
一応、遺跡になっていないぞと。つまり、古代世界帝国をやっていた所が、未だに遺跡にならずに一応先進国にかろうじて入って。破綻しそうだけれど、何となく皆凄く良い物食べて、あまり考えないけれど楽しく生きていますよね。
どうしてそういう事が出来るのかというと、やはり目的の中心が基本的に、生活の質を高くしてハッピーに生きるぞという目的を決して忘れていないし。その次には、自分がというよりも地域社会全体がそういう楽しい良い地域であるべきだという意識が異常に強いのですね。
国ってなると、まぁどうでも良いやみたいな。イタリアが分裂しても良いぞみたいな人が凄く多いのですけれども。我が地方がとなると、ここは良い地方だよとか。ここを良くするぜみたいな意識が凄く強い。そういう身に近い所から、楽しく生きていこう。美味い物を食おうと。地元の物を大事にしようと。そういう意識を強く持っている地域の方が、結果的に競争力が強い。
逆はね、逆は例えばアメリカなんですよ。アメリカはね、どこの物であろうと地元の物である必要が全くないわけで。世界中で一番性能が良くて安い物を買ってくるという国勢です。で、何でも良ければすぐに偏見無く買ってくれます。だから、日本にとっては非常に良いマーケットです。
日本が円高の時に、アメリカに対してどうだったかというと。一番円高だった2012年に、日本はアメリカから7兆円の黒字を稼いでいるのですけれどね。まぁ、ありがたいお客さんでね。全然、円高だろうが円安だろうが、日本製品を買うのですよ。でも、アメリカのね、一部違ってきていますけれど。基本的には、例えばスーパーに行きますね。どこにも地場産品のコーナーとかが無い。
これは街によりますけれども。アメリカに行ってお土産を買おうと思った時に、ほとんど中国製だったり。まぁ、ハイチ製だったりラオス製だったり。アメリカ製って事にこだわっていないのですよ。極一部少し変わってきていますけれど。基本的には、どこ産でも良いのですね。全員が同じ物を食べていると。そういう風にして、経済成長しているってアメリカは言っているわけですよ。
事実、成長しているわけですし、人口も増えていますが。貿易収支で言うと、世界有数の大赤字国家ですよね。結局、アメリカ製品が世界一で売れないです。そういうやり方をしていると。実は国政強制力が無い。
ただ、正確に言うとその基軸通貨というものに競争力を持っていて。どんなに貿易赤字でも皆がドルを持ってくれるもので。収支では赤字なのだが、資金的にはキャッシュが回るので、国が破綻しないのですけれど。赤字決算を続けていながら、なぜかお金も持っているオヤジみたいなね。まぁ、そういう社会なのですが。
決して、国としてノーマルな状況では無い。何でそうなっているのかというと、アメリカ人が全く地元性にこだわっていないのですよね。その事が、強制力を弱めている。ごく最近、西海岸とか東海岸の一部を中心に、地元性を大事にするぞという気運が少しずつ高まってきていますけれど。
中西部を中心にほぼまだ。まぁ、何一つローカルな事を考えていない。どこ製の物とも分からない原材料のファーストフードを食べて。どこ勢も何勢も無い、コークを飲む。あるいは、バドワイザーを飲みながら、どこ製の物とも分からない物でテレビを観て、という私生活を送っている人が圧倒的なのですよね。
《 加 》 中国とかはもっと風情があるというか。内容のある状態だったのですけれど。最近は本当に、アメリカ的になってしまってどんどん。
《 藻 》 中国を良くご存じですから、今おっしゃった通りですよね。中国に最初に行かれたのは、いつくらいですか?
《 加 》 いや、僕は一回しか行った事が無いのですけれど。15年くらい前です。
《 藻 》 その頃は、まだだいぶ違かったでしょうね。
《 加 》 北京が静かな頃でした。
《 藻 》 そうですよね。今行かれたらちょっとびっくりしますよ。同じ街かと思うでしょうね。今おっしゃった通りで、どこも凄く似たデザインになっているのですよね。
《 加 》 アメリカみたいになっているから、日本として良いマーケットですねと思って。
《 藻 》 おっしゃってる事の意味は良く分かります。
《 加 》 表面上は喧嘩している様でも、日本としては勝っているからというか。
《 藻 》 あのね、購買力が中国についてくると、まさにアメリカ化してくるのですよ。今、進化した豊かな中国社会はどこにあるのかというと、台湾と香港とシンガポールですね。この3つに対しては、日本はずっと貿易が苦しいです。シンガポールが多分、一番中国の将来像として、シンガポールみたいになりたいはずなのですね。食えている中国ですね。
一人当たりのGDPをみると、日本の2倍近くまでいっているのではないですかね、シンガポールは。1.5倍いってますね。非常に豊かな社会になったのですが、何一つ地場産が無い。まぁ、シンガポールはどうしようも無いのですけれども。農業が出来ないのですよ。水も受給出来ない所ですから。島なのだけれど、熱帯いったら非常に自民が貧しくてね。もうとても厳しい所です。そこで、お金を回しながら、マネー資本主義の究極の世界で生きているのですね。
デフレの正体を書いたのは、シンガポールに一年僕が住んでいた時なのですけれども。なにせ、極端な実験国家に住みながら、その限界というものを考えながら書いていたのですけれども。より里山資本主義では、よりシンガポールを意識しながら書いたのですね。
《 加 》 正反対の世界ですよね。
《 藻 》 正反対の世界です。シンガポール人は、なりたくても日本にはなりようがない。無理なのですよ。シンガポール人が悪いんじゃないのですよ。そういう場所なのです。あそこ、1820何年に、イギリス人探検家ラッフルズ教徒が上陸するのですけれどね。だから、ボロブドゥールを発見した人ですけれど。
シンガポール島に上陸してみたらば、原住民が27人しかいなかったのですね。今は、500万人住んでいる所に。なんでこんな、マラッカ海峡で一応要証なのですけれども。27人しかいない、漁民が27人いたのですね、イギリス人という人が。なんでこれだけしか居ないのだよ。田んぼが作れないのですここは。人が住めない、物々交換をして生きているのだと。
あそこの丘なんですか?と聞くと、あの丘はね悪魔が住んでいると。上がってみたら、五代王国が滅びた宮殿が、遺跡が出てきたのですよね。それが今のシンガポールの街のど真ん中なのですけれど。何回かそこに色々な王国は出来るのだけれど、水や食料が自給出来ないので、滅びるのですね。という場所に、今は500万人が貿易だけで成り立って食っていて。究極の自由貿易で生きていくしかないというまぁ、ある意味、あそこに行けばそうやるしかないという社会です。
皆何とか頑張って、ハッピーなんだけれど。サステナビリティという点で言うと、とてもとても大変。だからもう、戦略に戦略をめぐらせて、次の次を読んで手を打っていかないと滅びてしまうという、とんでもない国で。そこに住んでいた私が思うのは、日本はその逆だなと。何もせずとも食えてる奴が、江戸時代からだと3000万人くらい。当時の技術で3000万人食えていた、自給自足でも。
それどころか、結構色々な物が発達していた。まぁ、構造は発達しなかったのですけれども。手工芸だとか、色々な技術がちょっと導入するとあっという間に発達する。それがまぁ、恐らく今1億3000万人多すぎるのだけれど。今の技術で行くと多分、当時の2倍の6000万から7000万は恐らく自給出来る日本では。
物凄く豊かな島ですよね。それを、その対極を見ながら、何で日本でシンガポールみたいな暮らしをしなきゃいけない。何をやっているのあんたらと一番思うのは、シンガポール人だろうと。まぁ、そう思いながら、シンガポール人になったつもりで書いているわけです。そんな恵まれた所に住んでいて、何をやっているんだよって。
《 加 》 確かに。
《 藻 》 それが、中国かですね。中国がシンガポール化してまして。中国というのは偉大な社会で、何が言いたいってね、13億人増えているわけですよ。無茶苦茶ですからね。無理に無理を重ねてはいるのだが、何と中国は食料自給率90パーセントです。13億人が一応9割、自給しているのですよ。それからね、これももっと無茶なのですけれども。なんと、エネルギー需給率が90パーセント越えていたのです。最近、下がりつつありますけれど。
世界のどんな所でもね、13億人がね、ざっくり10億人以上が自給できる様な程の実りのある地域って無いですよ。中国で新幹線に乗りますとね。北京、上海とかにまぁ、乗るじゃないですか。皆、飛行機で移動するのですよ。新幹線に乗れよって言うのですけれどね。5時間ですよ。
50分に1本は出ていますから。乗ってみて下さい。途中ね、ずっととうもろこし畑です。時々、巨大な高層ビル街がバーンっと出てきて、それはいわゆる街なのですけれども。それを通り過ぎると、またずっととうもろこし畑なのですけれども。たまたま、岩山があって。物凄い不毛な岩山があったと思えば、またとうもろこし畑です。
巨大な穀倉地帯なのですよ。世界最大の穀倉地帯なのです。それを、一応維持しているのだけれども、水が無くなってきてね。多分、土が無くなってきてまずいのですけれど。兎に角、そういう風にしているのだけれど、その時に中国は、もうどこに行っても同じ景色なの最近。同じ街の中が。アメリカみたいなのですよ。どの街に降りても、同じ形をしている。
目的が正しい事が共有されると、手段としては非常に皆頑張るのですね。ただね、その。
相武台脳神経外科
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