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IM(インタラクティブ・メトロノーム)トレーニングとは? 奈良学園大学 教授 辻下守弘

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《 加 》      こんにちは。相武台脳神経外科の加藤貴弘です。今日は、当院で行っているIM(インタラクティブ・メトロノーム)トレーニングに関して、辻下先生の方からお話を頂きます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

《 辻 》       よろしくお願いします。奈良学園大学の辻下と申します。よろしくお願いします。私は、リハビリテーションの方に関わっている職種なんですけれども。インタラクティブ・メトロノームというですね。一つの訓練方法ですね。それについて、ちょっとご紹介をしたいと思います。

 IMはどのように誕生したのかということなんですけれども。最初はですね、音楽家のジム・キャシーという人がいて。ミュージシャンたちの演奏家ですね。トレーニングをするということで。そのリズム感を鍛える方法として、原型を作られました。

 その頃はまだ、アナログのメトロノームだったのですけれども。兎に角、通常の昔のカチンカチンという、メトロノームで演奏を合わせていくということですね。従来の方法をやっていたのですけれども。どうも、それでは熟達度が弱いということで。もっと効果的なものはないのかということで。このジムキャシーさんはですね。そのリズムとリズムのズレですね。それを、演奏家の人々にフィードバックをする。そうすることで、自分のズレがどれくらいあるかということを、トレーニングするということですね。そういう方法をやってみると、非常に演奏家のリズムの習得が早くなっていって。

 そのトレーニングをした演奏家が、演奏能力だけは上がっていってですね。他の能力。例えば、日常生活で必要な色々な記憶力とか。あるいは、日常生活で必要な色々なスキルですよね。そういうものが、良くなったということがあって。これを、演奏家だけではなくて。他の人達にもこう、特にお子さんの教育に使えないのかという発想で、作られたということです。

《 加 》      日常生活のスキルも良くなったのですかね。

《 辻 》       そうですね。日常生活のスキルが、ぎこちないということですかね。そういうものが、改善されたみたいなことが言われています。

《 加 》      大体、これは何年前ぐらいなんですか。

《 辻 》       これがですね。もうやはり20年ぐらい前になりますかね。

《 加 》        最近なんですね。

《 辻 》        最初はですね。だからそんなに、古くはないです。そして、このジム・キャシーさんは2005年に亡くなっているのですけれども。この機械は、そのまま発展していったという形ですね。そしてこれが、ジム・キャシーさんという人で、まさしく作曲家であり、演奏家であったということですね。

 IMはどういうものかということなんですれけども。基本は、ミリ秒単位ですね。いわゆる、1/1000秒単位でタイミングを合わせて行くということですね。通常、普通のメトロノームというのは、それほど多分、誤差を強調してる訳ではないのですね。なんとなく、タイミングが合っているのかどうかというところで、演奏能力を高めていくのですが。

 これに関しては、かなり厳密に。1/1000秒単位で、タイミングを合わせていて。その誤差を、リアルタイムに表示するということですね。それで、トレーニングをしていると。なので、こういうトレーニングですから。はっきりと言って全く、副作用とかそういうものはないということですよね。

 それから、大事なのはやはり、反復トレーニングということですよね。これはだから、兎に角、反復していく。非常にこう、ある意味ではシンプルなトレーニングなのですけれども。反復していくことで、能力が高まっているということですよね。それから、仕組みとしては現在は、かなり興味が持てるように。ちょっとゲーム性というか、ゲーム的な要素を付加したというところですね。それによって、やる気と意欲を高めていこうという方法になっていますかね。

《 加 》        なんかゲームセンターの、太鼓の達人とか。あとこのリアルタイムで、あっちは結果が来ないような感じですか。

《 辻 》        そうですね。あっちはリアルタイムでは来ないですね。

《 加 》        リアルタイムでは来ないのと。あと、ミリ秒単位のタイミング調整というところが、無いというところですかね。

《 辻 》        そうですね。太鼓の達人は、多分ですが、0.1秒単位で1/10秒単位ぐらいで合わせているので。

《 加 》        ということはじゃあ、二桁違うということですか。

《 辻 》        そうなんです。二桁違うのですよね。なので、あれも一応ですね。太鼓の達人も、タイミングが合っているのかどうかというのは、画面にうまいことでたら、パンッと開いて見えたり。あとは、音が良い音が鳴ったりとかいう形で、一応、表示されるのですけれども。それが多分、1/10秒単位ぐらいのレベルなので。かなり誤差があっても、うまいこといっていると。

《 加 》        ミリ秒単位ですか。凄いですね。

《 辻 》        はい。ミリ秒単位ということですね。そして、これはミリ秒単位というのは、多分、言語とかですね。こういうやつの、いわゆる喉頭というか。音を作っていく時に、その閉じて開いて、舌をどうしてとかいうタイミングを合わせるのが、もうやはりこの1/1000秒単位ぐらいで合わないと、音が出ないということですね。それが、いわゆる外れていると、変な音になってしまうというところで、言語のそうゆう生成みたいなものが、このミリ秒単位という話になっているということですよね。

 あとは、右脳と左脳ではないですけれども、脳の連携とかというと、神経の角栄効率化と、同期ですね。まさしく、タイミングという部分を、トレーニングしていく方法だということですね。1分間に54拍のリズムで、こうカン、カンっと鳴っていくのですね。このカン、カンの間隔というのを、まずは覚えることですよね。

 それを覚えた後に、次はどこら辺でその音がなるのかということを、結局は予測して、叩かないといけないのですよね。つまり、音が鳴ってから叩くのでは遅いのです。そして、鳴る前に叩いたら、早いということで。そこで、タイミングがずれてしまうので。

 要するに、このカン、カン、カンという間隔を、記憶した上で、次はどれぐらいで鳴るのかというのを予測して、ぴったりと合わせるということですね。次、どこで鳴るのかというのを、これはだから結局は、予測するということですよね。予測をしていて、もう音が鳴ると同時に、叩くということが必要になってくるので。この予測能力がないと、これはうまいこといかないということですね。

《 加 》        慣れてしまうと、出来るかもしれないですけれども。例えば、このリズム間隔を変えることはできるのですか。

《 辻 》        この一拍一拍は、当然その54とか、60とかですね。色々と変えることは出来るのですけれども。

《 加 》        変えられるのですね。

《 辻 》        ただ、1回1回は変えられないですよね。

《 加 》        じゃあ、歌みたいには変えられないのですね。

《 辻 》        1回1回は変えられないですけれども。この感覚を、兎に角、記憶していて、次を予測するということですね。ただ、これはですね、実は、鳴れというのもあるのですけれども。鳴れというと、先程話していた0.1秒というか1/10秒くらいのレベルだと、それでいけるのですが。この1/1000秒で合わせようとすると、ただ、慣れというだけではなくて、やはりそれを予測する機能というのがないと。うまいこといかないのですよね。

《 加 》        確かに、そうですよね。

《 辻 》        そういうことになってくるわけですよね。

《 加 》        そうなんですね。

《 辻 》        だから、IMというのは、そういった意味では、認知運動機能ということですよね。いわゆる、リズム間隔を学習してから、それを予測して。それを、運動に繋げるということですね。

《 加 》        なるほどです。

《 辻 》        そういった認知運動機能というところを、活性化するという風に、考えていたりしますね。

《 加 》        0.1秒の世界と、1/1000秒の世界というのは、全然違いますね。そう言われてみると。

《 辻 》        そうですね。世界的には。

《 加 》        世界的に違いますね。

《 辻 》        かなり違う世界ですよね。

《 加 》        そこまでいくと、本当に慣れではなくて。予測が必要ということですよね。

《 辻 》        そうですね。予測が出来ないと、難しいということですよね。だから、基本的には、そのIMの効果としては、そういった予測機能という部分が鍛えられるということで、主に左脳記憶ですよね。ワーキングメモリー。特にこの、注意集中力ですね。

 この注意集中力が無いと、その予測というのが、うまく出来ないというところがあるので。一応、そういった機能のトレーニングをすることで、ワーキングメモリーの活性化ということで。書字、読字とか。計算手順とかですね。それから、タイミングとか正確性。運動企画や協調性などですね。そういう部分を、トレーニングしていくということかなと思います。

 そして、このIMの基礎研究をしてる、マック・グレーという先生がおられまして。その人の、一つの仮説としては、結局は、そのタイミングをうまいこと合わせるというのは、一つは神経の基本的な活性化というか、効率かですね。それを、まずは高めるのだということですね。

 それと、その脳の中の、色々な部位の協調性みたいな部分を、高めるということですね。そしてさらには、こういうワーキングメモリー内で、今やるべき必要なことに、注意を集中するという能力を 鍛えることで、このワーキングメモリーを活性化すると。それが、結局はその認知機能とか遂行機能を改善するという、一応、仮説ですね。仮説では、そういう形になっていますね。

 特に、最近は、大脳と小脳の関係で、その大脳小脳連携というのが、時間の計測ですね。頭ん中の、時間の計測と。それから、リズムのタイミングを発揮する上で、非常に重要なメカニズムだということが。まだちょっと、猿の実験なのですけれども。小脳と大脳に針を刺してみてみると、そのタイミングが合っているみたいな感じのことが分かってきてはいるのですけれどもね。だから、そのリズムというのは、そういう脳の中のネットワークを、活性化するということになっていくのかなと思いますね。

 一応、IMトレーニングをすると、成績がそれまでよりは上がったみたいなのですね。そんな、報告があったりとか。

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