《照》 血液の中を流れているリンパ球が、癌の組織に入って行ったり。それから、リンパ節ですね。リンパ節に入っていたりする時に。血管がリンパ球をキャッチして、入りやすくするような。そういったリンパ球のトラフィッキングにも、非常にね。活性化を促して、リンパ球を癌の組織から。それから、リンパ節の中に入ってきやすくなります。
先ほど、制御性 T リンパ球ということで、制御性 T リンパ球というのは、色々な免疫の細胞を、働きを抑えちゃうような細胞で。癌の組織は、こういった制御性 T リンパ球というのを、自分の中や周りにも沢山集めてくるんですけれども。ハイパーサーミアを行ってあげると、血液中からそういった制御性 T リンパ球 、T リングと言ってますが。そういったものの数も減るみたいですし。それから、動物実験などで見てみると、癌の局所には、そのリンパ球のですね。制御性 T リンパ球もやはり数が、癌の組織の中でも減るということも血中でも、組織の中でもその様なことが色々調べられています。
そういったことで、免疫の抑制力が低くなるという事が、こういったハイパーサーミアにはですね、効果として考えられてるという事で。ハイパーサーミアは色々な状況で、免疫が働きやすいような、そういう環境を整えてくれると。これは、昔の京都大学の放射線科のホームページに出ていたんですけれども、血管があって血管の周りから離れる程、酸素の濃度が低くなりますよということで。特に、癌の時には、こういった酸素が不足している部分がたくさん起こってしまっているけれども、ハイパーサーミアとやる事で、こういった部分がより酸素が行き渡りになる事で、放射性間質性が高まるようなことも言われてるという事だそうです。
これは、動物実験、長谷川先生がおやりになった動物実験での結果ですが、温めてあげる事で、抗がん剤が癌の組織の中に沢山入ってきますよという事も、データとして確認されています。これは、二つの抗がん剤で調べられていますけれど、シスプラチンとタキソテールという二つの抗がん剤で見てみると、ネズミに癌を入れた直後の癌の組織での濃度を1としてあげると、その後、何も温めないで3時間後の癌の組織の濃度をみると、そんなに1の前後で大きな変わりは無いのですが。抗がん剤を入れた後は、30分間だけ41℃でその幹部を温めてやると、抗がん剤の量がですね。タキソテールでは、3、4倍に上がると。さらに、その41℃で30分温めて3時間後に見てあげると、シスプラチンという抗がん剤の濃度が6、7倍より高まるということで、同じお薬で治療してあげても、この温めるという操作をするかしないかで癌の組織の中での抗がん剤の濃度が全然違ってきますから。必然的に、その効果も変わってくるだろうと。
実際に、それじゃあ副作用は大丈夫かという事になりますが。副作用を増強することはないようです。肝臓の働きなどもね、活性化したり何かして。副作用とかはむしろ少なくなるみたいですから、癌の局所では、より細胞障害活性が高まって、副作用を抑えるという方向で働いてくれるので。癌の治療の時に組み合わせると、とても良いあのハイパーサーミア治療法なんだろうと。
《加》 癌の所にちゃんと抗がん剤が行くわけですから。
《照》 そうですね。
《加》 副作用も少なくなりそうですね。
《照》 はい。そういうことで、どうしても標準的な治療の量もきちんと使える人は、それをきちんと使いながら、ハイパーサーミアをやる事が一番ですけれども。どうしても、抗がん剤がね、副作用か何かで標準的な量が使えないというような人の場合でも、副作用が我慢できるレベルに落とした上で、ハイパーサーミアを行ってあげれば、それで効果が出てくる事が十分期待できると。ただし、そういったことは、治験や何かできちんと調べられた訳ではないですから。標準的な治療法とは少し離れてしまいますので、一般的には量は減らせないという風なことは、一般のね、腫瘍内科の先生達のおっしゃる通りではある反面、患者さんの治療といった事で考えると、患者さんが継続的に受けられる量の抗がん剤を投与して、最大限の効果を上げて。それでまぁ、結果が出るかどうか見てみるという風な事で、効果が治療法がなかったと思われたような患者さんに、良い効果がでる。治良がご提供できる事がしばしばあるし。
また、先ほど説明した様に、免疫細胞を考えた時には、癌の様々な免疫を抑えちゃう様な抑制を取り除くという様な効果に、抗がん剤がとっても良い役割をしたりする事もありますから。それを考えると、抗がん剤もね。治療が必ずしも、抗がん剤として強力に行かなくとも、 環境を整えるという意味で、聞いてくれてる時もあるんじゃないかと思っています。
《加》 免疫力性を取り除く抗がん剤というのは、例えば、なんかその種類としては?
《照》 この後、出てきますので。また、それでご説明しますね。
《加》 ありがとうございます。
《照》 化学療法での免疫の抑制の性能で、まさに今、先生がご質問された内容ですけれども、こういった様々な免疫を邪魔するような、そういう免疫から逃れる機構というのはありますから。これを除くために、色々な除く為のお薬を使いましょうという事で、ご質問にあった、例えばですね。さっき言った、制御性 T リンパ球を取り除くお薬として、良く知られているのは、サイクロプスマイトとかゲムシタビンとかですね。シスプラチン、タキサン系のお薬という事で、通常昔からよく知られている、扱い方もよくわかっているお薬ですし。
それから、MDSCという、骨髄由来免疫抑制細胞を除くのにも、ゲムシタビンとかですね、5FL とかシスプラチン、タキサン系。後は、直接的に免疫チェックポイント阻害剤としては、今有名なオプジーボやキイトルーダなどがありますけれども。そういったお薬という風な事で、色々な抗がん剤が免疫のですね、働きも邪魔しているような状況を取り除いてくれる薬剤として、これ以外にも、沢山再起をすることにしたのが増えています。
《加》 先生の所は、自費診療でされているそうですね。
《照》 少量ですからね。
《加》 量というのは?
《照》 例えば、シスプラチンとかは、通常の1/10か1/20くらいだったりします。
《加》 それは、末梢から点滴で?
《照》 そうですね。非常に少量でも、良く効いてくれる。シスプラチンは先程言った様に、温熱をすることで6、7倍くらい高くなったりしますから、取り込まれるパーセントがですね。そういう意味で、かなり量を減らしてあげても、効いてくれるのかなという風に思います。そうすると、通常だったらば標準的な治療としては、腎機能に対して、非常にね。副作用は起こりやすいとの事で、2日ぐらい入院して、シスプラチンを入れた後は、ずっと水でですね。洗い流し、作業をしてあげたりしないといけないんですけれども。5とか10mg入れてあげる分には、そういう必要は全くなくて。いつもよりちょっと多めに水をね、摂取して下さいねという事で、すぐにお帰りになることもできるし。
それから、体への蓄積性という事が、そういったシスプラチンをはじめとする、白金製剤とありますけれども、1/10か1/20を使っている分には、それは長く使えます。蓄積性の問題を雲霧するという時に大量で使ってしまうと、その蓄積性のリミットがすぐに来ちゃいますけれど、少量を使っている分には、長く使っても副作用はあんまり来ない状態がずっと続けられます。
《加》 じゃあ、結構毎回こう温熱療法と併用されてる感じですか?
《照》 それは、免疫療法とかをやらない時に、温熱療法をかけてきた時に、やったりしています。やはり、副作用が無いかという事は毎回、確認しながらやっていきますけれどね。
《加》 じゃあ通常は、その免疫治療とハイパーサーミア。あるいは、シスプラチンとハイパーサーミアという形でやっているのですか?
《照》 シスプラチンだったりゲムシタビンだったり。後で、何例か、少量別で記載しますけれども。そういう時に、3週間にいっぺんくらい免疫の治療をやって、その間の週に、今度は低量の抗がん剤をやったりして、温熱は毎週やったりという様な感じですね。
免疫チェックポイント阻害剤は、なんと言っても昨年,本庶先生がノーベル賞を受賞しましたので。とっても素晴らしいなと思いますし。これは、免疫チェックポイントというのは、免疫が働く時にそういった分子がですね、働いてしまうとブレーキがかかってしまうと。そういった所を、ブロックしてあげる事で、免疫がより働くようになりますよという様な事で。いわば、ブレーキを外してあげる、免疫抑制を外してあげる代表的なお薬の一つとして、有効性が確認されたというお薬です。ただまぁ、このブレーキを除いてあげるという風な事ですね。
色々と従来のお薬、例えばのデーターですけれども、従来の進行性の裏扁平上皮癌肺がんのですね、対する効果で。従来のお薬と比べて、新しいニボルマブだと生存率がずっと上がって、しかも、3年を過ぎて長くずっと効いて治った様になるような人がたくさん、2、3割りいらしゃる。という事で、話題になったお薬です。
こういうのが良く効くお薬と癌と、あまり効かない癌とあって。良く効きますよというものは、次々と保健薬として承認されてきていると。ただし、最終的な有効率というのはやっぱり、10から20%くらいで、まだまだ高い、もっともっと高くなってもらいたいなという状況でありますから。これを考えた時には、免疫を抑制しているものは沢山色々なものがあるわけです。こういったPD 1、PDL 1、免疫チェックポイント阻害剤が働いてる場合もあれば、T 伝染性、T リンパ球が働いてる場合はあれば、MDSが働いてる場合もあれば。抑制剤が働いてる場合もあれば、それがコンビネンスで働いてる場合もあると。
従って、その抑制が、何が中心的に働いてるかという様な事で、この一つ抑制を取ってあげるだけで、効くかどうかという事については、今の所は、10から20%でしょうという事であって。しかも、このブレーキを外してあげても、攻撃部隊がいなければ、攻撃部隊の邪魔をしてるものを外してあげるという事ですから。ブレーキを外しても、攻撃部隊のような準備がなければ。
《加》 元気が無ければ、焼け野原になってしまってダメですね。
《照》 そういうことで、こういったものをより有効に活かすには、多分、攻撃部隊もきちんと強化しながら、他の抑制のものも含めてうまくコントロールするという事で。多分、将来的に、このオプジーボなどの有効率を高めるのには、この PD 1 、PDL 1のお薬だけじゃなくて、他の免疫抑制を外すようなね。従来の抗がん剤をうまく加え、Splatoonとかそれ従来の DS 版とか、それも加えながら、更に攻撃部隊である免疫細胞などを強化してやると。そういったもの、三位一体としてやっている事で、より有効率が高まって来るのかなという風に予想しています。ただし、そういったまだデータはないので、今後の検討も必要だという事かと思います。
《加》 費用対効果を考えると、シスプラチンとそのNK細胞とハイパーサーミアだけで、行けそうな気がするんですけれどね。
《照》 それは後でね、オプチーボと同じで効果はまだ出るかなと言う風には、データ的には考えているのですけれども。たはり、色々なものをうまく組み合わせるという風な事は、必要な事かとは思います。
もう一つ、このオプジーボで凄く気にしなくてはいけないのは、約1割くらいの人に、免疫に関連した色々な副作用が出ると。それは、色んな所に出て、しかも、非常に強い状態で出てきてしまったりするので。副作用について十分に気をつけなくてはいけないというところが難しいところですね。で、費用対効果という風に、先生はおっしゃっていましたけれども。この免疫チェックポイント阻害剤というのは、次々に色々なものが、今、市場に出回ってきて使われる様になってきているんですが。大きな問題としては、非常に費用は高いということですよね。
当初は、1年間使うと肺癌だったら3500万円。薬価が下げられてきて、今は1300万くらいまで下がってきていますが。それでも、一年間でそれだけ差額がね、お金を出せなくちゃいけない。費用がかかる。それで、効くのが約1割か2割。それで、副菜も1割という事ですから、まだまだこれだけね。お金をかけるんだから、もっともっと 良い効果がでるように、プラスアルファーの治療法を開発していく必要があるのかなという風に思います。
《加》 1000万円あったら、1000万円でハイパーサーミアをして、NK細胞を元気にさせて、ビタミン点滴を打ったら、相当気持ち良い治療が出来ますね。
《照》 だいたい今、東京クリニックで、免疫細胞療法と温熱ハイパーサーミアですね。一コース、6ヶ月間くらいあると、だいたい200万円くらいです。6ヶ月くらいですね。ただしまぁ、自費ですけれどね。オプチーボの場合には、保険だから適用さえあれば、自己負担率というのは、ぐっと下がりますけれども。それでも、高額な費用がね。
《加》 そのNK細胞とかの、がん保険みたいなのはあるんですか?それと関連をしている。
《照》 セコム損保のがん保険だけは、それをカバーしていました。ですから、時々そういうのでやりたいという人が来るのですが、セコム損保自体が新たなクリニックや病院に対して、それを使えるような登録をね、閉め切っていて。新たな登録を数年前から、受け付けない様になっているんです。ですから、あらかじめ登録していた、限られた所でしか使えないのと、セコム損保の保険にそもそもね。入っている患者さんは極めて少ないということがあるので、通常の色々なアフラックや何か、先進医療の何かは使える状態ではないので。
ですから、そういう意味で、なかなか保険でカバーすることができない。それは、民間の保険ですね。そういう状況もあるから、そのままお財布から出さなくてはいけない。費用的に何らかの物というと、源泉徴収の時の、医療費の控除にのみ使えるけれど、それ以外の費用的なサポートがないというのは、非常に大きいなと思います。負担の問題点かなとは思います。抗がん剤の頻度もどんどん減らしても良い状態でずっと元気で過ごされて 。
相武台脳神経外科
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