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クレートジャーニー関野吉晴さんインタビュー第2回

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《 加 》 こんにちは。相武台脳神経科の加藤貴弘です。今回はグレートジャーニーでおなじみの、関野吉晴さんをお迎えしてちゃんねる S 第4回目をお送り致します。どうぞよろしくお願い致します。

《 関 》 ブータンに行った時に、ブータンと言うのが本当に、国民の90何パーセントかが、自分達は幸福だと思っている国なんですよ。前に、国王が凄くかしこい人で、スリランカで国際会議があって。そこで、会議の後の記者会見で、GNPの代わりにGNH、国民総生産ではなくて、国民総幸福量。グロスナショナルハピネスという言葉を使う。

 それはどういう事かというと、要するに開発・発展も必要だけれども、それ以前に大切な伝統的な文化とか。それから、環境とか。あるいは、祖先の事とか。伝統ですよね。そういう発想で政治も行っていて、だから外資を全然入れない。で、外資を入れたら、先程ミャンマーが凄く良い人たちだって言うけれど、今は入れ始めたんですよ。軍事政権、ちょっと民主化し始めて、なので、ちょっと今はこれから良い人がいるかどうかは分からないんですね。

《 加 》 物資的な欲望が入ってくるとやっぱり、そっちに囚われちゃう所があると思うんですけれど。

《 関 》 そうですね。

《 加 》 僕自身もその、凄くその物質の方向に行けばきりがない。きりがないというか、変な方向に行くんだけれども、自分の欲望を外では無くて、内向きに持っていくと、凄く色々なものが見えてくるんじゃないかなという風な形はあります。身体を感じるというか、一番身近な自然というか、大自然って自分の身体なんですよね。

 やはり毎日、何人も患者さんを診させて頂いていると、身体に意識を向けている人はほとんどいない。人間の身体ってほとんど自動で動いているって、知っていますか?と、聞くと、何を言っているんですか?と言われるんですけれど。髪の毛を伸ばしたり、ご飯を食べたら消化をしたり、目のピントを合わせたり。凄く色々な機能が働いて調和して、動いてくれているんですよっという話をしているんですけれど。「え、何を言っているの?」っという感じ。

 今まで、そういう事を考えた事が無い方が多くて。皆さん結局、自分自身で生きていると思われているかもしれないんですけれど、生かされている部分があって、それって、ただ静かに座って、ちょっと身体を感じるだけで凄い大自然に感じられるんで。感覚って凄く大切だと思うんですけれども。感覚がたぶん薄れてきている部分が凄くあると思うんですよ、健康を考えた時に。

《 関 》最後にやったのが海で、自分でカヌーを作って、手作りカヌーでインドネシアから日本に来たんですけれども。でも、それは、なぜそんな事をやったのかというと、五感を取り戻すという事があったんですね。要するに、その時はGPSもコンパスも全部使わないで航海をしたんですけれども。そうすると、海の深さも水の量で見るわけだし、方向もコンパスが無いから、星でですね、月と太陽を含めた、夜は星で見るし。そういうので見て、風も
肌で感じられるわけだし。そんな風に、使わないと五感というのは全然衰えてくるわけで。
 
その典型的な例が医者の世界で。昔はね、患者が入ってきた段階からもう、座ってそれで問診して視診から始めて、直診して聴診して打診して。それで、初めて検査を何しようかと決めるわけだけれども。今はもう、最初に来た段階で血液取られて、レントゲン撮られて。それで、酷い場合はモニター見ながら診察しているという。外側からわかろうと思えば、聞かなくてもある程度の診察が出来るというね。で、それから、検査も今は多分、半分以下ですむと思うんですけれど。

 アウトドアの世界でも五感を使ってというのが、装備が良くなっってしまって。で、五感を使わなくなっちゃってるので。で、やっぱり僕は太古の人と同じような感覚で航海をしたかったし。そういう意味で、そういうものはやっぱり、一度、感覚を取り戻したいと思ったんですね。

《 加 》 筏に乗って何か気付かれた事とかって、感じられた事ってありましたか?

《 関 》 カヌーでは、やっぱり自然には敵わないんなって。まぁ、ボロ船だったから、風任せ潮任せな訳ですね。だから、でも何とか後ろから吹いて欲しいなとか、潮はこっちから、向こうではなくてこっちから流れてきて欲しいなとか思うけれど。であと5日じゃなくてこっちから流れて欲しいなと思うけれど。要するに、どうしようもない訳ですよね。

 要するに自然は、やはり恵みをいっぱい与えてくるわけですね。自然が無ければ生きていけない訳だし。だけど、何となく神様みたいに感じてしまうんですよね。神様というのは、要するに、日本の神様とヒンズー教の神様、一神教ではなくて。要するに、こう恵みを与えてくれるけれども、いたずらをしたり、あるいは懲らしめに来たり。あるいは、悪さをしたり。そういうのは自然であって。

 要するに、ヨーロッパ人は自然をコントロールするとか制服するという言い方をするけれども。自然はコントロール出来ないなという感じを、前からずっと感じていたけれども。海を走っていて、本当に痛切に感じて。その間に、3。11。東日本大震災になったんで。本当にもう、自然というのは、コントロールするもんじゃなくて、ただ、我々には科学というものがあるので、やはり自然を知ることが大切だと思うんですね。征服するんじゃなくて、いかにこう防御するかですよね。

 結構、縄文時代なんかは知っていたんですよね。だから、縄文時代の遺跡、貝塚何かを見ると全部高台にありますからね。今回の津波ではやられていないんですよ。皆、低い所に住んでいるとやられる。たぶん、経験で知っている訳ですね。やっぱり文明の発達のおかげで、いや、堤防を作れば良いじゃないかとか言って、下に降りてきちゃうと、また一発でやられてしまう。

 こういう快適な空間、真冬になっても、多分、毛布を何枚もかぶっていなくても良い。真夏になっても、そんなに素っ裸にならなくても良い。温度を保てる環境に今、ほとんどの人が、それこそ日本人だと住んでいるわけですよね。でも、その空間を、要するに、人工的な空間を全部取っ払ってしまったら、我々はどうなるかと言ったら、きっと生きていけると思うんですよね。なんとか。やっぱり辛いですよ?寒いし暑いし。だけれども、やっぱり昔と同じで、一からやり直すと思うんですよ。ちゃんと生きていけると思うんですけれども。

 逆にこういう人口的な空間を残しておいて、例えば、植物を全部取っ払ってしまう。そしたら、どうなるかですよね。まぁ、一日で酸欠で死にますよね。ただ、酸素は作れるわけですよね。酸素ボンベで。というか、化学反応で酸素は電子分解すれば出来る訳だけれど。ただ、有機物は作れないんですね。要するに、どんなに頑張っても、太陽のエネルギーと二酸化炭素と水で有機物を作ろうと思っても、植物しかできないわけで。光合成が出来ない限り、我々は植物に頼る以外無いので。で、そうすると、いかにこの人工的な空間を残しても、結局は我々は餓死してしまうというか。

 なかなか気が付かないんですね。良く授業とか講演会なんかで、みんな聞いてる人の中で持っている、自分を持っている中で、自分で自然から取ってきて作ったものを持ってる人いますかっていうといないですからね。例えば、僕は美大にいるんだけれど、物造りの大学なのに、誰もやっていないらしいですから、美大生が。だって、木工とか彫刻でも、木を買ってきて作っていますからね。だから、いかに我々は、自然から離れてしまっているかって事ですよね。

《 加 》 房総半島とか砂浜から砂鉄を取って斧を作ったというのは、ビデオで観させて頂いて、これ本当にできるのかな?と思ったんですけれど、きっちりと斧が出来ていて、それでカヌーを作られたっていうので。僕も凄い色々な物を勉強させて頂きました。

《 関 》 あれは初めてなんですね。あの時に、若者を誘ったのが。その時に、やっぱり面倒くさい若者を連れていくのは、事故があったら面倒くさいし、最初からまた教えなければいけないし。面倒くさいんだけれど、もったいないと思ったのは、その無駄な事をやる訳じゃないですか。砂鉄を集めたり炭を焼いたり、一から製鉄をやって。で、向こうでヤシの葉っぱから包丁を作ったりとか。

《 加 》 食料まで日本で作られていましたよね。

《 関 》 そういう面倒くさい事をやって、実はお金もかかるし、時間もかかる。で、面倒くさい。だけど、本当にそういう効率だけを求めれば、設計図を作って、インドネシアに飛んでいって、設計図を持ってこれって船大工に、これ半年後に来るから作っておいてっていうのが、実は一番お金もかからないし、時間もかからないんですよ。

 ただ、それだと何にも気付かないというのはある。で、その気付き、多分こんなこと余計な事をやったら、お金も時間もかかるけれども、色々な事に気付くと思ったんですね。自分だけ気付いてももったいないから、それで誘ったんですね。でも、その例えば、砂鉄集めの段階で、色んな事がわかってくるのですが、例えば、江ノ島の湘南の砂鉄は駄目ですよと言われたんですよ。

《 加 》 なぜですか?

《 関 》 硫黄とかチタンとかの不純物が多い。それが、利根川とか九十九里の海岸だと、より純度が高い。で、今度は炭を焼こうとすると、東京で広野の多摩動物園に大きな窯があって、そこで焼けば良いじゃないかと思ったんですけれども、木を見てみるとほとんどスギ、ヒノキなんですね。で、だから製鉄するには軽すぎて、雑木か松が良いって。雑木だといっぱい、交互に散っているから高いんですよね。で、結局、岩手まで。そうすると、それでも東京、関東の植杉がいかになっているのかという事がわかるし。実際に5キロなんですね工具が。斧とか鉈とか、のみとかを作ろうと思うと。

《 加 》 重さが5キロですか?

《 関 》 5キロの工具で作る、鉄がいる。で、砂鉄120キロ集めたんです。で、炭は300キロぐらいで、岩手で焼いた松を。その為には、3トンの木が必要になってくる。っという事は、5キロの工具の為に、3トンの木が森林伐採が必要なわけですよね。いかに鉄を作る為に、人類が自然を壊した、森林を破壊してきたかがわかる。まぁ、そんな余計な事をやらなくても勉強すればわかるけれども、余計な事をやったことによって、色々な事もわかるという。

 例えば、グレートジャーニーを始めたのも南米でいったらアマゾンの人とか、日本人と似ているわけですね。顔も似てるし、背格好や仕草も、そういう性格までシャイで似ているんですね。で、それは、知識を知っているわけですよね。ベレー海峡を渡ってきたんだから。アジア系の人だから似ているのは当たり前なんじゃないかと。でも、それだけではちょっと、この人たちがお互いにやってきた道をたどろうなんて発想はしないわけですよね。で、出会ってみて、本当に似ているな。本当に、いつどこからやってきたのかという事を探ろうと思ったら、実際に会ってみたくなりますよね。やっぱり実感というのはやはり凄く大切だと思うんですけれども。

相武台脳神経外科
頭痛、めまい、耳鳴り、海老名、厚木、新百合ヶ丘

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