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「ふるえ」に挑む脳神経外科医。ニューロモデュレーションとは?松前光紀先生第2回

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《 加 》 こんにちは。相武台脳神経科外科の加藤貴弘です。今日は、チャンネルS番外編。市民公開講座としまして、東海大学脳神経外科教授、松前光紀先生をお招きしてお話を伺います。どうぞ、よろしくお願い致します。

《 松 》 これからですね、少し難しい話になるかもしれませんが、皆さん脳外科というと、例えば、脳の中に血が出る。あるいは、脳の血管が詰まる。脳梗塞、あるいは、脳出血。それから、脳の中にできものが出来る脳腫瘍。こういうのを手術するのが脳外科の大きな仕事だという事は、良く理解されていると思います。

 これからお話しする話は、脳の機能ですね。特に歳を取る事によって、その機能が段々と落ちてきたものを、どうやって回復させていくかという事のお話になります。ここに、ニューロモデュレーションという言葉がスライドにあがっていますけれども。神経の構造に手を加えず、電気や磁石で運動などの刺激を与える方法です。

 つまり、普通の脳神経外科の先生たちは、血管が詰まった先にまだ助けるものがあれば、そこに血管をもう一回もってきて通してあげると。そういう様な、構造を変える手術をがあるのですけれども、これからお話をする事は、脳やそれから脊髄、神経に全くその構造を変えて。あるいは、その経路を変えたりせずにですね。手術をして、治してあげるという非常に新しい方法です。

 今日、お話をするのは、脳深部刺激療法。それから、脊髄刺激療法。この二つについて、お話をさせて頂きます。いずれもこれは、電気で神経を刺激するという治療です。東海大学病院では、私が勤務している脳神経外科。それから、神経内科、麻酔科。これらの科がですね、協力をしながら治療を行っています。

 実は、これからお話をするパーキンソン病とか。それから、痛みを訴える患者さんというのは、いきなり脳外科に来る事は無くて。まずは、神経内科。手や足が震えるとか、歩きにくいとか。そういう事で、神経内科にいらっしゃって、パーキンソン病という風に診断をされたり。

 それから、世間で良く知られております、ペインクリニックと呼ばれる、痛みを専門とする外来は、当院では麻酔科がやっておりますので。麻酔科の先生を訪れた後、私どもの方に、この様な治療が良いのではないかという事で、ご紹介を受ける事が多いです。

 という事で、神経内科と麻酔科。これが、脳外科と良く協力をしながら、脳神経外科と神経内科の協力のもと、治療を進めていく内容について、お話を致します。これが、ある会社のホームページから取ってきた、脳深部刺激療法というものの図です。実はこの、患者さんの右の脳の一番奥の方にですね。皆さん、心臓でペースメイカーという言葉を聞いた事があるかもしれませんが、電気を流す電線の先端。電極というのを入れて、脳のある部分を胸の前に入れた電池から、電気を送ってあげる事によって、そこの機能回復をさせるという治療です。

 それではですね、実際にこの手術をお受けになった患者さんの、手の動きに関して見て頂きたいと思います。この患者さんは、右手が震える病気です。患者さんは、左手に電池を入れたり切ったりする装置を持っております。まず、黄色くなっているのがスイッチオフ。電気を流していない時の状態で、そうしますと、この様に震えているわけです。

 これを、スイッチを入れてあげて、電池から電気を流してあげると、ピタッと止まるという事が良くわかると思います。これが、脳深部刺激療法の一つの効果になります。もう一回、電池を電源を切りました。という事で、その違いが良くこれを見て頂けると、お分かり頂けるのでは無いかなと思います。

 この治療はですね、一つが難病の一つであるパーキンソン病。それから、先ほどビデオでお伝えしたような、手が震える振戦。それから、手や足がどうしても大きく動いてしまうジストニアと呼ばれるものに、現在は健康保険が適用になっています。

 その他、海外では、うつ病とかてんかんとか。あるいは、びっくりするのですけれども、肥満とか痴保に行われている場合があります。ですけれど、これについては、まだ皆の合意は得られておりません。

 それではですね、先ほどビデオでは、電池の電源を入れるとピタッと止まって。また、電源が切れると、その手の動きがまた出てくるという様に、非常に良く効いている患者さんの動画をお示ししましたけれども。この電気で刺激する方法はね、手術だけで効くのかという事なのですが、この答えは違うのですね。それについて、お話をします。

 兎に角、まずはパーキンソン病についてお話をしますけれども、基本は、お薬による治療です。なんといってもお薬が最初です。しかし、パーキンソン病は、脳の中のある伝達物質と呼ばれる物が、加齢と共に歳を取るごとにそれが減るという病気なので、歳を取れば取るほど、お薬の量や種類が増えてきます。

 そうしますと、薬による副作用。また、その効いている時間が短いなどの問題が出てくるので、この時期にお薬を少し減らしてあげて、患者さんを元のお薬を飲み始めた時期の、幸せな時期に戻してあげるというのが、この脳の深部を刺激する刺激療法です。ここには簡単に、お薬の事を並べさせて頂きましたけれども。これが、パーキンソン病の患者さんの、概ね、その病気の進行に伴うそれぞれの症状について書きました。

 実は、パーキンソン病を発症する、パーキンソン病だと診断される前にはですね、少し匂いが分からなくなったり。あるいは便秘だったり。うつ病だったり。それから、睡眠の障害というのを、これが結構長い期間続いている方がいらっしゃるというのが、最近分かってきました。

 いよいよ、手足が何もしていない時にも震えるとか。あるいは、歩きにくい。それから、症状が乏しくなるとか、そういうことが起こってまいりますと、この時期に、大体は神経内科の先生の所に受信して、それで、パーキンソン病に関する、お薬の治療が始まります。

 そうしますと、左から3番目なんですけれども。お薬は非常に良く効きます。これは我々の俗称ですね、第一のハネムーンの期間という風に言いますけれども。この時期ですね、大体3年~5年。7年くらいですね。必ずその非常に、薬を飲む事によって幸せな期間を過ごす事が出来ます。しかし、やはり、脳の中の伝達物質。神経の機能を外に伝える物質が下がる事によって、お薬の量が増えてきます。

 そうしますと、先ほどもお話をした様に、薬の副作用などが出てきますので、もう一回この時期に、手術を加える事によって、二番目のハネムーンを楽しんで頂くという為に、手術を行いますので。決して、誤解をして頂きたくないのは、手術が最初にありきという様な事では無いという事を、今日は、強調していきたいと思います。

 ここに、模式図を作りましたけれども。これが、黄色の状態がですね、非常に薬が効いていて、患者さんの状態が良い状態。ですけれど、薬を飲む感覚の間に、薬の量が身体の中で少なくなる時間がありますので。日内変動というのですが、この黄色のライン。黄色の帯よりも下に下がった分、ここが薬が効いていない時間なので、これを底上げしてあげるという様な。ここで電気を加えてあげる事によって、下の部分が上に上がってくるという様な、底上げ効果。

 それから、薬の感覚と感覚との間に起こる、患者さんがちょっと具合が悪いという期間を、なるべく短くしてあげて、患者さんが大体一日の間、平均して気持ちよく過ごせる様にしてあげる、という様な効果を狙うのが一つの、まず、電気刺激の治療法です。

 それから、もう一つはですね。実は、効きすぎという事で、身体が勝手に動いてしまうという様な副作用なのですが。薬が強すぎるという時の、薬が強い所を元々の薬を少なくする事によって。そして、効果をあげてあげるという事をする場合が、これが、二番目の効果です。

 それから、もう一つですね。別のスライドを出しましたけれども、薬の効果を増強させると。いわゆる、電気で刺激する事によって、矢印のようにその効果を上に向かせるという事が出来ます。この治療はですね、一番右側、神経内科の一番トップである瀧澤先生。それから、右から二番目、神経内科の馬場先生の協力のもとに、脳神経外科の真ん中におります、厚見先生と。それから、真ん中から左側におります、馬場先生。この四人で協力して行っております。

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