多くの分野でのIMトレーニングに関しての研究報告 奈良学園大学 教授 辻下守弘 第2回
《 加 》 こんにちは。相武台脳神経外科の加藤貴弘です。今日は、当院で行っているIM(インタラクティブ・メトロノーム)トレーニングに関して、辻下先生の方からお話を頂きます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
《 辻 》 よろしくお願いします。奈良学園大学の辻下と申します。よろしくお願いします。私は、リハビリテーションの方に関わっている職種なんですけれども。インタラクティブ・メトロノームというですね。一つの訓練方法ですね。それについて、ちょっとご紹介をしたいと思います。
一番その、インタラクティブメトロノームという、この IM のエビデンスとして、一番有力な雑誌に載ったものは、米軍ですね。国防総省ペンタゴンの方で、いわゆる爆風とかで飛ばされて、頭を打ったりとかそういう、TBIですね。
外傷性脳損傷の人らの、IMトレーニングの介入研究があって。大体、IMトレーニングをした人が50人。それ以外のトレーニングをした人が50人で、介入研究をすると。中等度ぐらいのですね。改善効果がIMのトレーニングではあったということが、報告されています。これは、ニューロサイコロジーの雑誌に投稿されているということですね。かなり多くの人は、それによっては普通のトレーニングをするよりは、IMを追加する方が、効果が高くなっていたということですね。
《 加 》 下がったということですか。
《 辻 》 下がったということですね。そういった報告があります。ちょっとこれは、なかなかすごい、色々な評価をしていまして。ちょっと一言で言うと、難しいところもあるのですけれども。一応、結論としては、IMにはこういうTBIとかの、認知機能障害に対する効果があるだろうということが、一応言われています。
コレハ、先ほど話しました。北海道大学の田中先生という方が、やられているのですけれども。これは猿の実験なんですが、猿に今みたいな、これはちょっと光刺激なのですけれども。光刺激をある一定の間隔で与えていくと、その感覚を猿が学習するわけですよね。学習して、実際に小脳の方で、こういうリズムをとるような細胞の活動が見られており。つまり、そのリズム感覚を学習しているわけですよね。猿が。
その時に、やはり同じように光を、パッパッと当てた時に、エラーでパッとこうつけないようにしたわけですよね。そのつけないところでつけないと、実は小脳の方で、そこの部分を補うように、予測した脳の活動が見られたということです。
いわゆる、学習した後も、やはりその先々を予測しながら、リズムを等間隔で打とうという風な様式があって。もし、そこに光刺激がでなくっても、予測した活動を出すことができるみたいなところで。そこで、小脳がかなり関与していると。小脳と大脳の連携が、非常に大事だということが、ちょっと分かってきたということですね。まだ猿の実験ではあるのですけれども。
子どもに関しては、やはりその学力とIMの効果ですね。これも、大体585ぐらいのデータで、これはちょっとその対照群と介入群という形ではないのですけれども。全員にその IM トレーニングをしたわけですけれども。一応、IMトレーニングをすると、成績がそれまでよりは、上がったみたいですね。報告があったりとか。
あとは、 ADHD ですね。注意欠陥多動性障害の子どもさん。これは、介入研究していまして。いわゆる、IMをしない群とIMをした群では、IMをした方が、その ADHD の症状が緩和されるということが分かっています。だから、海外ではかなり、IMは子どもさんでは ADHD ですね。注意欠陥多動性障害の子どもさんの適用というかですね。結構、広くやられているみたいですね。
それから、読解能力ですね。これもIMをすると、読解能力が高まる。つまり、読み書きが早くなるということが、報告されたりしています。それと、ちょっと変わったところでは、先ほど、野球のことを言われていたと思うのですけれども。ゴルフで結構、研究されていまして。ゴルフのはやはり正確性ですね。
それを、ちょっとこれはシュミレーションを、シュミレーターでやっているのですけれども。13レイですね。この SMT というのが、IMのことなんですけれども。IM13で。それから、何もそういうトレーニングをしない人を13で比較してみると、これがちょっとやっていますね。こんな感じでやっているのですけれども。大体1日に、45分から50分で結構長いのですけれども。
《 加 》 結構、長いんですね。
《 辻 》 結構長いですね。週に3回くらい。
《 加 》 毎日ですか。週に3回ですか。
《 辻 》 週に3回、連続4週間をやるわけですね。そうすると、このIMのスコアは当然改善するわけですよね。何もしない人と比べたら。そして、これもタイミングが改善していくのですが。いわゆる、正確性ですね。それが、あの何もしてない人は、むしろ正確性が悪くなるのですけれども。IMをやっている人は、かなり正確性というのが、改善していくということが分かってきています。これは、改善しているというよりかは、誤差が小さくなってきています。要するに、打ったホールへの。
《 加 》 目的地に近くなったということですかね。
《 辻 》 そうですね。目標から、近くなったということを、表しています。スポーツでは今、このゴルフとか。あとは、バスケットボール。それから、ラグビーとかですね。それから、加藤先生が先程おっしゃっていた、野球とかサッカーとか。そういった選手も、このIMを使っている。
《 加 》 あれ、ジャンプの人は。スキージャンプの人もされていますよね。
《 辻 》 やっていますかね。色々な人がやっているみたいですね。ただ、やはりスポーツ選手の人ってあまり、言ったらね。あのアドバンテージがなくなるんで。あんまり公表をしないんですよね。自分もIMをやっていますよというのはね。公表をしてしまうと、真似をして皆がやってしまうから。アドバンテージにならないので。
むしろ、結構有名な人が、IMをやっているという情報はあるみたいですね。僕もそんなに詳しくは無いのですけれども、向こうの人に聞くと、結構有名なスポーツ選手とかもIM
をやっていると。
《 加 》 日本のスポーツ選手の方々には、まだ浸透はしていないのですか。
《 辻 》 日本はですね、あんまりやっていないかもしれないですね。やっているのかもしれませんけどね。ちょっとまだ、そういった情報が入ってきてはいないのですけれども。
《 加 》 あまりこう、大っぴらにはしたくないのですかね。
《 辻 》 そうですね。あまり大っぴらにはしたくはないと思っている人が多いはずですよね。それから、私は理学療法士なんですけれども、一番関わりの多い、この片麻痺患者さんですね。脳卒中の片麻痺患者さんの、これはまだちょっと二人だけのデータではあるのですけれども。改善効果があるという。いわゆる麻痺側の、麻痺側の手の動きですね。巧緻性といいますか。そういうものが高まるという、データとかですね。あとは、パーキンソン病の患者さんとかで。
《 加 》 え、リズムトレーニングで、麻痺が良くなるのですか。
《 辻 》 麻痺が良くなるというか、それは何と言うのですかね。動かす手順みたいな、タイミングですね。力の働かせ方の。だから、いわゆる形成というかね。こわばりがあるので。こわばりがあると、一つ働かそうと思っても、全部働いてしまうので。いわゆる、選択的に働かせるという。
《 加 》 リズムが出来てくるのですか。
《 辻 》 そうですね。だからこう、カンッカンッカンッカンッとかね。そう言う感じで、こう音に合わせてこういう分離運動ですね。これをトレーニングさせることで、そういった協調性が生まれてくる。
《 加 》 そういったやり方もあるのですね。
《 辻 》 はい。そうですね。
《 加 》 なるほど。なるほど。
《 辻 》 マットのやつがありますよね。あれでこうね、カンカンとこうね。こういう感じで、小指からでも良いですし。
《 加 》 色々いな使い方が出来るのですね。
《 辻 》 色々な使い方がありますね。普通に紹介するやつは、もうオーソドックスなやつなんですけれども。非常にこう、亜流がいっぱいありますので。
《 加 》 なるほど。なるほど。
《 辻 》 はい、色々なやり方がありますね。それから、パーキンソン病の患者さんですよね。この方々は、もうまさしくリズム感がね。あの面では、ちょっとエビデンスがね。でているところではあるのですけれども。それを、かなりIMの方は、もうリアルにIMトレーニングというのは、パーキンソン病のリズム感のトレーニングであって。
《 加 》 本当に何か単調で、リズム的なものが良いといわれますよね。単調なトレーニングでということが。パーキンソン病の方々が。
《 辻 》 はい。なので丁度、そういった意味では、IMがぴったりなんですよね。
《 加 》 ぴったりですね。
《 辻 》 ぴったりですよね。ぴったりなんですよね。だから結局、パーキンソン病の人は、多分その内因的なリズムが取れないので。そこを、外から補うということで、カンカンといったあの音ですね。あれは単調なんですけれども。あれが、いわゆる運動を誘導していくみたいなところがあるので。非常にこう、IMをやると心地良いというかですね。非常にこう、身体がリラックスするというか。こわばりが取れるとか。そういうことを言われていますよね。
《 加 》 本当ですか。
《 辻 》 そして、実際に観た、歩く方法ですね。ゲートメートという製品なんですけれども。それは、足の底に先程の、プレートみたいなやつを、センサーをつけていて。それで音が鳴ったら、ヘッドホンで聴きながら、歩くのですよね。その時に誤差があると、ブーッというブザーが鳴って音がするので。それで、フィードバックをしながら、タイミングを合わせていくというような。
《 加 》 そんな機材もあるんですね。
《 辻 》 あるんですね。ゲートメートというですね。
《 加 》 それ良いですね。それだったら、パーキンソン病の方々のリハビリとして、凄く良いですね。
《 辻 》 それはまた、プロとはオプションであるのですけれども。でも、結構向こうでは使っているみたいですね。そして、これの発表をね。アメリカのパーキンソン病の何か、医療センターがあったりしていて。そこが、それを結構、試してみているみたいで。
《 加 》 パーキンソン病では無くても、やはり年齢が高くなると、パーキンソン症状というのは、結構出てくるのですけれども。そういう方にもすごく、良いですよね。
《 辻 》 そうですね。なので、高齢者の方には今、それが非常に良くてですね。そして今、IMの本社の方はすごく、いわゆる転倒ですね。転倒予防というところで、かなりこの高齢者のゲートメートを使ったトレーニングを、結構、推奨していますよね。
《 加 》 すごい、良いですね。
《 辻 》 あまり日本では、やっていないのですけれども。
《 加 》 ロコモティブシンドロームとかですね。
《 辻 》 えぇ。なので結構、この2・3年くらい、かなりIMは転倒予防の方を協調していますね。そちらのニーズが高いみたいです。そういった面では、パーキンソン病の人に使うと、効果的な方法かなと思いますよね。先生のところでもね。結構、多いと思いますので。
《 加 》 ありがとうございます。なるほどです。
《 辻 》 それをやって、なんか次の作業とか、仕事とかをするとですね。非常にひらめきがでたりとかするので。
《 加 》 落ち着いてですか。
《 辻 》 落ち着いてですね。
相武台脳神経外科
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