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玄米の力  渡邉昌先生 第1回

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《 加 》      本日は、どうぞよろしくお願いいたします。渡邊先生は、医者としてのお仕事をされていく中で、今は玄米ということに強く力を入れていらっしゃるのですけれども。そもそも、何でその玄米に着目されるようになったのですか。

《 渡 》      私はね、がんセンターで20年以上働いていたのですが、その時にね。糖尿病になってしまったのですよ。それで、糖尿病で薬を使わずに、色々と挑戦をしているうちに、食事と運動でほとんど完全にコントロールできましてね。そのまま20年過ごしたのですが、東京農大のあと、国立健康栄養研究所に来てくれと言われまして。そこの理事長をやっている時にね。食育基本法というのが、できたのですね。小泉首相のもとで。それで、たまたまその委員を頼まれてやっていたのですが。食育って誰が言い出したのかなと思いましてね。

 そうしたら、石塚左玄という人が最初に言ったということがわかりまして。それで、石塚作業がね。食事で、ほとんどの病気が治るということを、ずっとやってきた人ですけれども。玄米菜食が基本なんですよね。それで、特に日本綜合医学会というのを作った、二木謙三先生という方がいましてね。その人は、もう玄米の二木と言われていたぐらいのね。玄米
、玄米とおっしゃっていた方ですからね。

 それで、確かに色々とそれを辿って調べていきますと。国立栄養研究所も全く、西洋流の栄養学なのですが。日本には他に、食養生というね。江戸時代から続く、道がありまして。そこでは、やはり玄米菜食で、健康に生活している人が沢山いると。そして、その辺りからね。関心を持ったのが最初です。

 それでね、いざ実際に、自分で玄米を食べてみるとね。やはりすごく調子が良いのですよね。まず、一番良いのはね。便通ですね。どんな便秘も必ず治ると。それから、その後に色々とこう、玄米のエビデンスを科学的に立証しようと思って、色々調べているのですけれどもね。やはりこの玄米食というのは、健康にとっては非常に良い食事だと、そういうことを確信するようになってきました。

《 加 》      そうですよね。その白米の周りについているものを、食べるということですよね。みかんがあって。みかんも、中のオレンジの実のところだけ食べる人もいますけれども。やはり白いところを食べると、便通がすごく良いですし。なにか免疫力が上がっている感じがするんですよね。みかんも、オレンジのところだけではなくて、白いところを食べて。

 冬になるとすごい、みかんをいっぱい食べるのですけれども。みかんを食べることで、風邪とかを引かないのですが。やはり、あそこの白いところを食べているからかなとも思いますね。それを考えると、やはり玄米というのも、その周りを取ってしまう必要はないのかなとも思いますし。ずっと歴史をずっと見ていると、ほとんど日本人はずっと玄米食だったのですよね。

《 渡 》      はい、そうですね。精白するようになったのはですね。江戸時代に入って、将軍様とかお金のある商家の旦那ぐらいだったのですね。ですからあの、将軍様は白米ばかりを食べているとね。ビタミンB不足で脚気になってしまって。それで、田舎に帰ると治ると。それでね、江戸患いと言われていた時代があるのです。

 ですから、そういうこう明治に入ってからね。特に、この米を精白する技術が色々とできてきましたね。なかには、小石。小さい石を少し入れてね。精白すると、効率良く白くなるという様なね。そんな、精白をしていた時代もあるのですよ。戦争前後ぐらいまで、そういうのがありましたね。

 それで、有名なのが。脚気論争というのがありましてね。明治時代の軍隊で、陸軍はね。脚気菌という菌で出来るだろうということで、やっていましたし。海軍の方はね。食事が関係しているというので、やっていたのですが。だから陸軍はこう、脚気が菌だと言うために、白米を兵隊さんが食べ続けて、日清戦争・日露戦争。両方ともね、脚気で死ぬ人の方が、戦士よりも多かったのですよね。

 ですから、海軍の方も。一応、転々として麦飯をつついて、脚気は治ったのですが。ですから、公衆衛生的な立場でね。こう決める人の責任というのは、非常に大きいのですよね。

《 加 》      今は、白米で食べていて、その食育基本法というのが出来て。どういった形の情報を発信されているのですかね。

《 渡 》      やはりね、こう日本はいつ頃からかな。もうバブルの前ぐらいからですね。もう食べることに、国中が狂ったように、美味しいもの食べるようになっていますでしょう。今も、多少残っていますけれども、多少は健康を目指した食事というのが、皆さんは意識するようになっていますけれどもね。それで、白米を食べている人はね。なぜか大食いで。しかも、おかずをあれもこれも食べないと、栄養的なバランスが摂れない。摂れないために、肉とか色々と食べる人というのは、油っぽいものが好きな人が多いですよね。ですから、肥満になるリスクがね。非常に多いのですよね。白米を食べている人というのは。

 それで、玄米を食べている人はね。ほとんど肥満にならないのですよね。不思議なことに。それでね、満腹感とかそういうのは、関係しているのかもしれませんし。それで、肥満者の人というのは、私達は玄米のエビデンスという本を書いたのですけれどもね。それで、そうしましたらね。その時は、10人ぐらいのこう主として玄米食で、治療をしている先生方に書いてもらったのですけれどもね。

 そうしましたらね、良い例だけを書いているのではないのかと。それで、全体としては分からないのではないのかと言われましてね。それでね、元気スタディという、研究を3年ぐらい前からやっているのですが。そしたら、私も驚いたことにね。肥満者の人は、糖尿病とか高血圧や高脂血症と言ったような、いわゆる生活習慣病になるリスクがね。3倍ぐらい高いのですよね。

 ところが、玄米食をしている人はね。それが1/3ぐらいなんです。ですから、上下のリスク比で言いますと。白米で肥満の人に比べれば、玄米の人が1/10ぐらいのリスクしかないと。ということですよね。それが、のちに未病を治すという発想に繋がったのですけれども。

《 加 》      それはもう本当に、子どもの頃から、そちらの方が良いってことですかね。

《 渡 》      えぇっとね。必ずしも、そうでもないのですよね。私自体そうだったのですが。糖尿病になってから、食事療法に関心を持っていますでしょう。ですから、五十歳ぐらいからですよ。だから、中年の人がね。40、50歳ぐらいから、関心を持って良い食事に戻せばね。まだ間に合うということだと思います。

《 加 》      じゃあ、子どもの頃は、特にそんなに気にしなくても良いという感じですかね。

《 渡 》      まぁ、子どもの頃は、自分の好きなものを食べても良いのではないのでしょうかね。

《 加 》      身体は意識してですね。

《 渡 》      でも、子どもの好きなものと言うと、甘いものや脂っこいものとか、クリーミーなものが多すぎるからね。それはそれで、問題かもしれないですね。

《 加 》      すぐに糖に直結してしまうものは、どんどんその食べたくなってくるというか。悪循環になってしまって、食欲ばかり増進してしまうのですかね。栄養素を摂らないと。

《 渡 》      旨みでね、依存症になるのが、旨味と脂身なんですよ。だから、この二つはね。よっぽど意識して、コントロールしていかないと、うまくいかないということになりますので。

《 加 》      今はあまりこう、子どもの患者さんも結構来るのですけれども。なんかあまい栄養状態が悪いのかなという様な方もいるので。そうですね。だから、急に子どもさんが、玄米食を摂り始めると、お腹を壊してしまったり。なかなかみんながそうでないと、ちょっとデータが無くて、なかなか言いにくいところがありますね。

 腸内環境とか。昔の子どもさんだったら、腸内環境がそれに対応して、玄米を消化できるようになってくるのかもしれないのですけれども。現状の子どもさんが、どういう腸内環境をしているのかというのが良く分からないですし。いきなり玄米食にして、すぐに対応できるような腸内環境になっているのかということですよね。そういう本当に意識があるご家庭だったら、腸内環境を作るところからやっていって。玄米食という風に、子どもを持っていけるのかもしれないですけれど。

 玄米だけという風になってしまうと、腸内環境が全然出来ていない状況で、玄米だけになってしまうと。ちょっとそうですね。一概にだから、子どもさんのことをどうのこうのっていうのは、言いにくいところがあるかもしれないですよね。

《 渡 》      玄米食でね。大体、1/3ぐらいの人がね。辞めてしまうのですよ。それで、辞めた人に理由を聞くとね。やっぱり固いとかね。充分に噛み切れていないとかで。胃がうまく動かないという人が多いですよね。ですから、やはり玄米の場合、100回噛めと良く言いますけれどもね。100回ぐらい良く噛んで、唾液と混じりあうと、飲み込みやすくなると。それから、噛む刺激というのはね。口腔内の環境にとっても必要です。咽頭筋とかね。その辺にも、絡んできますし。

 最近では、噛む刺激が脳内に働きかけて、認知症予防にもなると言われていますでしょう。それから、子どもが玄米を食べれないのかというのは、決してそうではなくてね。九州の方とか、関西の方ではね。保育園や幼稚園で、玄米食堂をやっているところもありますよね。それで、そういうところはね。みんなとっても、何て言うのかな。頭が良くて、良い子に育つそうですよ。調べるとね。

《 加 》      じゃあその、何か食育の研究会で、給食を玄米にしてしまえば良いのではないでしょうか。ダメなんですかね。その何というのですかね。政府の食育の研究会みたいなので、給食を。小中学校の給食を玄米にと。一気に玄米にしたら、面白いのではないですか。なんかどうなるのか。

《 渡 》      えぇ。日本は自由主義の国ですからね。なかなか、そういう全体主義的な政策は取れないと思いますけれども。まぁ、玄米食も選択して食べられるとかね。そういう風にすると良いかもしれないですよね。だって、未だにね。コッペパンを揚げてね。それに、ココアの粉をふりかけて、牛乳を一本つけてね。給食だって出している学校があるのですよ。それでもきっと、5、600キロカロリーにはなりますからね。

《 加 》      そこの意識の差というか。

《 渡 》      だから、やはり食べるということがね。段々と、疎かになっているのかもしれないですよね。

《 加 》      そうですよね。

《 渡 》      こう玄米食をやっている人たちはね。二通りありましてね。健康の為だけに、玄米を食べている人と。それと、玄米を食べながら、段々とね。あのスピリチュアルな生き方の方向に、行く人たちがいるのですよ。それも、最近では、腸内細菌の中のね。酪酸とかそういうのが、脳の方にも影響しているということが言われ始めていますけれども。

 ですけど、そうではなくてもね。やはり玄米の米粒をじっと見てね。これは、田んぼで取れてきたものでね。お百姓さんたちが一生懸命に作って、その命を自分ももらっていて。自分の命にしてるんだと言うね。そういう気持ちは、もうこの頃の子どもは、一切ないですよね。

《 加 》      やはり、僕自身も昼は、玄米一膳だけにしているのですけれども。やはり、食べ応えがありますから。しっかりとこう、命を頂いてるという気分になりますよね。ご飯や白いご飯。白米だと、なんかするっと食べてしまうのですけれども。玄米だと、やはりしっかりと食べなければ、食べられないので。本当にこうなんか、一つひとつの命を頂いているという気分になって。腹持ちも良いですし。食事をしているという感じになるのですよね。

《 渡 》      そうですね。

《 加 》      そして、この感覚が、良く家で小さい頃に、たまにこうステーキを食べていたのですけれども。ステーキを食べている時に、脂身が入ったステーキというのは美味しいなと思ったのですよね。小さい頃から、それが美味しいという風に、脳にこうインプットされていたのですけれども。すごく美味しいなと思っていて。だけれども、この前、ネパール行った時に、水牛かなにかの牛肉が出てきて。

《 渡 》      あぁ、やくでしょう。

《 加 》      やくなんですかね。牛肉がでてきて。それが、すごい歯ごたえがあるのですよ。すごい歯ごたえがあって。最初は、ん?という様な感じなんですけれども。食べた後に、すごいなんかこう体中にエネルギーを感じる感じがして。美味しいところだったのですよね。やはり、あれが本当に肉を食べるということなのかなというの感じて。

《 渡 》      本当にそうですよね。

《 加 》      なんか変な方向で、その脳の美味しいという回路がもう、出来上がってしまっているのかなと思っていて。だから、食べるというのはやはり、実際は、本当にこう命を頂くということなので。やはり身体の不要なところを食べて、脂肪とかを食べて。なんかちょっと、まやかしみたいに食べるのではなくて。しっかりとエネルギーが強いところを、しっかりと食べて頂くということを、ちゃんとやっていくということをしていくと、地に足を着けていけるのかなと思っていて。

《 渡 》      そうですよね。子どもの味覚はね。3歳までに作られると言われていましてね。ですから、3歳までに和風の出汁の味とかね。そういうのを覚えさせると、和食が好きになっていくという話ですし。そこのところを、甘いものと脂っこいね。ポテトチップスとか、そういう洋菓子みたいなものばっかりを食べていると。それなりになってきてしまうということですよね。

《 加 》      それが、1回油っぽいものが好きと思ったのですけれども。やはり本能的に、赤みがエネルギーだという風に感じる能力というのは、持っていたのだと思うのですよね。それで、ネパールに行って衝撃を受けたのだと思うのですけれども。やはり、あれが本来の食事生活なのかなというのは感じがしましたね。

《 渡 》      例えば、玄米を食べていますとね。玄米、味噌汁だけでね。ほとんど必要なものは賄えてしまう、完全食なんですよ。それでね、完全食を食べていれば、もうそれ以外のものってあんまり食べたくなくなるのですよね。それで、玄米を食べてる人たちは、牛肉とかをそんなにあまり食べていない人が多いので。多分、そういうことだろうと思っているのですけれどもね。

《 加 》      玄米をどういった形で、先生は発信をれているのですかね。

《 渡 》      僕の場合は、直接会社に行っているわけではないので。雑誌とか講演とか、色々なありとあらゆる近所の人とかね。会う人みんなに、玄米は良いですよとお勧めするイメージですね。

《 加 》      会う人にですね。はい。

《 渡 》      それで、科学的エビデンスはね。段々とずっと溜まってきていますよね。それで、最近は特に、玄米というのはこう腸内細菌と、非常に相性が良いのですよ。ですからそれによって、身体全体の健康とか免疫機能とかね。そういうのが保たれると分かってきましたし。

 それで、長年玄米をずっと食べ続けている人たちを、疫学的に追跡をしているのですけれどもね。皆さん、90歳過ぎまでご夫婦ともに元気で働いてる人が、結構多いのですよね。ただしね、100歳を超えている人は、ほとんどいないのですよね。それで、大抵もう97歳とか99歳とかで、亡くなるなという方が多くて。ただし、皆さんね。ほとんどがぽっくりの自然死なんですね。だから、どういうことかなと思っていてね。一度、折があったら、その辺も研究してみたいと思っているのですけれどね。

《 加 》      その100歳を越える方々というのは、どういう様な食生活をされているのですかね。

《 渡 》      もうそうなってくるとね。食生活のパターンというより、個人差が大きくて。

《 加 》      一般的な話というよりも。その人たちが長寿の人っていう。

《 渡 》      そうです、そうです。その人にあった、ライフスタイルを身に着けたという感じですね。

《 加 》      もう長生きのコツを掴んだ人ということですね。

《 渡 》      ええ。それで、100歳を超えてもね。元気な方もいますし。まるで、何ですか。介護施設で寝たきりの人も、ほとんどですからね。一概には言えないということになりますが。

 患者さんも栄養士さんも、お医者さんもね。共通のプラットフォームで、栄養とか食事療法の問題を、考えて欲しいという。

相武台脳神経外科
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