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水上治先生インタビュー第1回 「保険外診療の捉え方」

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《 加 》 こんにちは。相武台脳神経科の加藤貴弘です。今回は、ちゃんねる S 番外編。市民公開講座に、水上治先生をお招きしてお話を伺います。水上先生は、弘前大学を卒業された後、英語での地域医療やカリフォルニアで公衆衛生学を学ばれた後、今は市ヶ谷の方で補完医療を中心に、医療活動をされております。私が考えるに日本では、補完医療というのは、だいぶ遅れている部分があると思うのですが、そのパイオニア的存在である水上先生に今日はお話しを伺おうと思います。もし、参考にさせて頂けましたら幸いです。宜しくお願いします。

 宜しくお願い致します。水上先生は、補完医療を中心に活動をされているわけなのですけれども、私自身が医者を目指していた時に、一年市ヶ谷で浪人させて頂いたのです。駿台予備校というところで。時々その、医学のスペシャリストの方が、何ですかね。講演に来て下さるのですよ。その時に来てくださった方が、帯津良一先生とおっしゃっていて、心に残っていた言葉が、今は西洋医学がだいぶ行き詰まっているので、君たちは、西洋医学と東洋医学を結びつけるような目で色々な事を勉強していきなさいという事を言われて。で、その事を言われたのが、おそらく、10年、20年近く前なのですが、日本でいまだにやはり、補完医療というのですか。健康増進学、予防医学という分野が、あまりこう浸透してきていないようなかんじがするのですけれども。

《 水 》 帯津先生からも、年に一回でしょうか。駿台予備校で、若い方々に話をするのがとっても楽しいみたいだと聞いています。ところが、そのレクチャーの時の反応はとっても良いのだけれども、彼らは医学部に行って一人前になってしまうと、ちっとも私のお話しを思いだしてくれないなぁなんて、嘆いていらっしゃるのですが。確かに、西洋医学というのは長年の伝統があって、より科学的であろうとして、ずっと発展してきましたので。やはり、西洋医学の体形というのが、非常に素晴らしいものだと思うのです。
  
 ただ、現実に現場で、僕ら医療に従事していますと、一人ひとりの患者さんを拝見していますとね。どうしても、西洋医学には壁があるというか、限界があるというか隙間があるというか。そういう現象に気付かざる、負えないのですよね。
西洋医学は、兎に角何よりも科学的であろうとするし科学的根拠第一、これはエピデンスと言いますが。エビデンス第一ですから、その姿勢は、ある部分失って欲しくないのですが、しかし、現実に隙間がある。具体的に申し上げれば、私自身、癌の方々にお会いする機会が非常に多いわけですね。実際問題として、皆さん、癌の専門病院とか大学病院とか、そういう一流の病院にかかっているのですが。やはり、発見された時にすでに進行しているとか。あるいは、きちんと模範生として、治療を受けているのだけれども、ある時期から、西洋医学があまり機能しなくなってしまって、非常に悩んでいるという方々が多いのですよね。
 
 ですから、その辺がおそらく、西洋医学の隙間みたいな所かと思うので、私がやっている補完医療というのは、基本的には、西洋医学は大事にしながら。しかし、隙間がある。その隙間を、大抵のドクターのように放置するのではなくて、停止無視するのではなくて、何らかの他の手段で少しでも埋められないかと。そういう事を心掛けてきた医療、これが補完療法という事ですね。
だいたい、補完医療という言葉自体が西洋医学の補完という意味ですから。ですから、補完医療だけで病気を治そうという事は、今度は逆に、補完医療を過大評価し過ぎているという事になりますから。それはもう、私は反対なのですけれども。あくまで謙虚に、西洋医学を大事にしつつ、ちょっと隙間がある所以外は、それを真空のまま放置するのではなくて、空洞のままではなくて、何かちょっと補えさせて頂いても良いかなと。それを、十分な時間をかけて、患者さんと相談しながら。患者さんが、例えば、癌との闘病の中で、どうしても体調が悪いと。体調が悪いと、闘争心が萎えちゃいますから。そういう時に、じゃあ、当院に着て、少し元気になっていただこうと。そういう風な感じで、補完医療をやっているのですね。
 
 先生のご質問にお答えしたいのですが、私は色々な国々で医療を学んで来ているのですけれども、どうも、医療の先進国たる日本がですね、補完医療の発展が一番遅れているといわれているのですね。それは、非常に残念で、帯津先生なんかともね、嘆いているわけですけれども。その理由は色々とあると思いますけれども、現実には、特に我々医者の仲間の間では、補完医療はあまり語られていないという事だと思います。

《 加 》 放置するとおっしゃいましたけれども、ほとんどの日本の医者が放置しているという感じですかね?

《 水 》 進行癌に関して、例えば、ステージ4と言いますけれども、全身転移していると。その様な状況になりますと、もちろん、手術は出来ないし放射線でも叩けない、抗がん剤しか無いという事ですが。もちろん、話し合いのうえで、抗がん剤を選んでいる方は多いのですけれども、抗がん剤の弱点というのは、ご存じの様に結局、いずれは効かなくりますからね。効かなくなると、また違うのに変えますけれども。でも、いわば、一番煎じ、二番煎じ、三番煎じという風な感じで、段々と切れ味が悪くなったりしますのでね。

 それで、それこそ教科書通りに、抗がん剤を使ってしまって他になくなれば、申し訳ございませんと。もうやる事はありませんと。それで、余命告知も場合によってはされて、それで、うちではする事が無いから、どうぞ、家で好きなように過ごしてくださいと。こういうお話しになるんですよね。患者さんにしてみれば、ある日突然、手の平返すようにして、冷たいあしらいを受けてしまったかの様に感じてしまうのですよね。

 やはり、患者さんが例えば、抗がん剤の効果に期待していればいる程、落差も大きいという事ですね。それで、例えば私の所にいらして、涙ながらに本当に信頼していたドクターなのに、先般、急に冷たいことを言われて、もう落ち込んで泣いてますという風なお話しが多いんです。しかしながらこれは、補完医療的には、まだやる事があるわけですよ。

 もちろん補完医療で、進行癌が果たして消えるかというと、私もそれは難しいと思うのですけれども。でも、もっと元気になるとかですね。ある種のスピードで癌が進行していた場合に、そのスピードが、スピードダウンする可能性とか。物凄く上手くいけば、まとまった状態でしばらく共存できるとか、そういった可能性はゼロでは無いと思うのですよね。ですから、私はそういう方に対しては、確かに西洋学的にはもうあまりやる事はないかもしれないけれども、他の医療的にはまだ、いくつか選択肢はありますよと。それを終えられるまでには、10年ありますよと申し上げているのですよね。

《 加 》 私も、その自分自身が癌になったら、そういう治療法があるという選択肢があるというのがあると、ちょっと心が楽になる。自分の立場だとするのですけれども。一応、そういう選択肢があるという情報を得るという場所が、日本の中でなかなか浸透していないというか、どこでも得る事が出来ない、出来にくい部分というのは20年前から言われていて、なかなか浸透しないのは何でなのでしょうか。

《 水 》 やはり、西洋医療というのは基本的には、サイエンス、科学の世界から派生してきていると思うのですよね。考え方としてはやはり、科学、科学と。特に分析ですよね。出来るだけ、事物を分析する。そして、客観的に実験していく。ですから、そういう物の考え方の中から、医療・医学もきていますから。やはり、人体という生命体を出来るだけ分析する。実際、今はもう細胞だけではなくて、分子レベルまで。遺伝子レベルまで、解析されていますよね。これは、素晴らしい西洋医学の成果だと思うのですけれども。

 結局、こんな風に医療というものを、科学的根拠のみだけで西洋医学というものは構築してきました。逆に言うと、そういう根拠のないものは全部排斥されてきたんですね。我々、6年間の日本の医学教育の中では、西洋医学だけですから。それが、正しいことであって、それ以外は、正しくないのだと。そういう風に繰り返し教えられてきたし、実際、卒業後も病院で研修を受けたり、色々と学んでいくわけだけれども、そのプロセスの中で、兎に角、科学的根拠があるものだけやりなさいと。実際、じゃあどういう風に、医療というものを鑑別するのかと言うと、厚生労働省が健康保険適用になっているものが、科学的根拠があるのだから、それだけをやりなさいという事になるのですね。ところが、民間療法といわゆる補完医療ですね、広い意味での。それは、大体の場合、科学的根拠がまだ十分無いし、当然自費になりますから。はっきりといわゆう峻別されるわけですね。ですから、やっぱり我々の医学教育で、そういう風に教え込まれていますから。それが、病経験10年とか20年経っても、若い時や医学生の時の学びというのは、やはり我々の脳にそれこそ吸い込まれていますからね。

 やはりそれ以外の医療を、認めるという事が凄くしにくくなっているという事だと思います。これはやはりね、私の考えでは、日本の医学教育が、もうコチコチに西洋学だけであるという事に相当問題があるのでないかなと思います。というのは、外国に目を向けますと、例えば、私はドイツが好きで時々行きますけれども。ドイツでは、例えば、医学生の教育においてですね、薬草ですね。ハーブが必修になっているのです。それ以外の補完医療も必修になっているのですね。ところが日本はね、一切それはない。だから、ドイツにおいては、科学的根拠のある、例えば薬草は、国が健康保険を認めてただで処方できるのです。だから、何ていうのでしょうかね。日本だけがね、西洋医学だけで。例えば、自然の素材みたいな。薬草的なものは、まぁ漢方という例外はありますけれどもね。ほとんど認めない。
 
例えば、日本の伝統医療で、相当根付いているものの一つというのが、針でしょう。針だって、病院ではやりにくいのですよね。例えば、西洋医学の牙城というか、アメリカでもトップを争うような癌センターに行きますとね、針をやっているわけですよ。がんの患者さんに。なぜ日本のがん専門では針を一切やらないのか。おかしいでしょう。針はあっちの方々よりも、日本の方がお家芸ですよね。そりゃもちろん、中国から入ってきたけれども、日本の針というのは、中国針よりも太く長くない、やっぱり日本人に合ったような針の打ち方の伝統というものがあるわけですよね。ですから、そういう物も一切無視してきたという事に、やはり日本のある部分、悲劇性があるのではないか。やはり、外国なんかは様するに、患者さんが満足するものであれば、我々QOLと言いますけれども、特に癌の患者さんの場合は、クオリティオブライフ、生活の質が凄く大事ですよね。

 特に化学療法を受けて、体がもうガタガタになってしまっている様な方は非常に多いのだけれども。じゃあ、どうしてアメリカの癌専門病院で針をやるのかというと、上手く針を打つことで、元気になる可能性があるからやっているわけですよ。もちろん、針で癌は絶対に消えませんよ。だから、そういう風に過大に期待する人は誰もいないので。ただ、癌との戦いにおいて、QOLは大事だから。QOLを少しでも良くする医療を、がんセンターでも受けたいというアメリカ人は多いから。だったら、針をやってみましょうという事になるのですね。

 針ももちろん補完医療です。だからそういう意味でね、私は日本程、遅れている国は無いのではないだろうかと。非常に、嘆かわしく思っています。だから、20年間、結局医学教育も西洋医学だけだし、医学部の教授たちも、それを飲み込んでいるから。ちっとも進歩がないという事ですが。世界的な風潮を見ると、日本だけが遅れているという事なんです。 

相武台脳神経外科
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