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脳神経外科診療に関しての今後の展望 東海大学脳神経外科教授 松前光紀先生最終回

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《 加 》 こんにちは。相武台脳神経科外科の加藤貴弘です。今日は、チャンネルS番外編。市民公開講座としまして、東海大学脳神経外科教授、松前光紀先生をお招きしてお話を伺います。どうぞ、よろしくお願い致します。

《 加 》  今日は、貴重なお話をどうもありがとうございました。

《 松 》  とっても楽しい時間を、過ごさせて頂いています。

《 加 》  脳外科の診療所というのは、意外にこう、街中で少ないと思うのですけれど。これからやはり、脳外科疾患というのは、先程、お話を頂いたように、脳腫瘍から。脳血管腫瘍から外傷があって、子どもの病気があって、そういった機能的な痛み、パーキンソンとかの病気も凄く多様性がある中で、凄く必要とされていると思うのですけれども。

 例えば、脳外科診療所と大学との連携というか。今後、脳外科の診療所、僕たちはどういう役割を果たしていくことが、良いのかなというので。松前先生の方で何か将来的な、こういう関係性が良いのかなということがおありでしたら、お話し頂けたらなと思うのですけれど。

《 松 》  まず、僕は今59歳なんですけれども。僕の年代に脳外科医が多いのですよね。脳外科学会員って、僕の前後の2、3年の所が、ピークにこう多いのです。あと10年すると、その人達が段々と引退してくるでしょう。で、大学病院に勤務している人もいるし、一般病院。それから、一般行かずに開業している人もいる。

 その人たちが第一線から退いてくるとなると、僕らはずっと常にね、学生に言っているのですけれども。脳外科って辛そうに見えるけれども、非常に幅広くずっと一生食っていけるのだよと。まぁ、食っていけるというのは、表現があまり適切では無いかもしれないけれども。

 大学病院にいると、例えば、脳の血管の病気とか脳腫瘍とか、難しいものから。うちの病院だと、今度は救急車でどんどん色々な人が運ばれてくるので。外傷とか、それから脳血管障害の急性期という人が運ばれてくる。そういうのを見ていく中で、もう一つは、今日お話をしたように、痛みとかパーキンソン病、それから、脊髄脊椎と。非常にやる領域が広いのですよね。

 という事で、神経を元にして、身体全体を診ることが出来る。診ないのはお産くらいだよという風には言っているのですね。そういう中で、じゃ、大学病院。それから、地域の中核となる病院。それから、脳外科をベースとして、一般で開業されている脳外科の先生達が、当然連携を取っていくのは、当然良いことは良いのですよ。

 ただ、考えなければいけないのは、やはり人口は減っていっているという事なのですよね。東京はもうオリンピックの年にピークを迎えると言われているのです。でも、よその中核都市でも、どんどんと人口が減ってくる。ですから、これからはもう、人口が減って土地が余る時代になってきて。克、人口は高齢化していく。

 という時に、僕らは医者として、まずは脳外科を離れて医者として、憲法にも示されている様に、どこに住んでいても最低限の生活が出来て、健康が守れるように、国は医療を提供して。僕らがそれを実践する様になっているわけですよね。そういうのを、どう連携を取っていくかというと、段々段々とですね。脳外科医の数がある一定の数に達して、少し減ってきますので。大学病院はそのままあると思うのですよ。地域の病院は、やや集約されていく方向にあると思うのですよね。

 ですから、少しずつ機能が、大学病院。それから、一般医家さんの方に。今の中核病院の機能が移ってくると思います。もちろん、一般以下の所で緊急手術というのは、ありえない話ですし。それから、大学病院の方で、普通の頭痛外来とか。痺れ外来とか。そういうのは、なかなか負担が重くて出来ない所があると。だけれども、より一層この二つの、両極端では無いのですけれども。教育機関と、それから、地域に根ざした医療をやっていくということの重みは、どんどん増えてくると思いますよね。

 ですから、非常に先生がSNSを使って、色々なものを発信されているのも重要ですし。さっき話していた、毎日、20人新しい患者さんが来るというのは、これはもう非常に素晴らしい事ですので。それはもう、先生の発信力とそれから。一つはいくら患者さんが来ても、最初に嫌な印象を持たれれば、二度とこないし。結局はたぶんね、口コミが多いと思うのですよ。あそこにいけば良い先生がいると。

 だから、今日はね、先生の診療所を見させてもらったのですけれども。先生の人柄に触れる事が出来て、非常に良かったなという風に思います。

《 加 》 ありがとうございます。

《 松 》  この相武台というのは、僕は初めてきたのですけれどもね。ここは相模原市ですよね?

《 加 》 そうですね。ギリギリ相模原市ですね。

《 松 》  ギリギリ相模原市なんだ。相模原市もね、結構人口は多くて、横浜、川崎の次がここですかね。確かね、人口の多さからいうと。ですから、非常に人が住んで多い所なんですけれども。でも、もうちょっと南とか西に行くと、少し人口が少なくなってきますよね。非常にそういう地域の中で、今後はまぁちょっと日本のモデルになりそうな地域が、この地域ですよね。どんどんどんどん、先生のこの地域での医療を頑張って頂ければと思います。

 あとはね、先生は自分で非常に健康に気を遣ってらっしゃるので。それは、先生の所でスタッフ何名いるのでしたっけ?

《 加 》 スタッフはえっと、パートを入れると30人弱くらいですね。

《 松 》  30人??

《 加 》 パートさんも入れるとですけれどね。

《 松 》  医師は当然、先生お一人でやってらっしゃるわけでしょう?で、こういう診療所は、先生自身が大変健康に気を使ってらっしゃるけれど、やはり自分が健康であるというのが大切だし。30人が先生の下にぶら下がっていて。ぶら下がっているというか、先生が中核となって働く事によって、周りの人はそれをサポートして。それで、患者さんがいっぱい来て。それで、診療報酬で受けた中から、従業員の方々に給料を払っていると思うのですが。そこを重荷に感じずに、非常に元気良くやっている姿は感動しますよね。

《 加 》 ありがとうございます。僕自身が出来ることに絞って、出来る事だけを毎日やるということを、やっていきたいなと思いますので。松前先生にも、何らかのお力になれればと思っています。

《 松 》  僕はね、大学病院にいるのは、若い人の教育が出来るからなんですよ。だから、常に学生で、義務で回ってくる。嫌でも、単位として取らなければ行けないのでまわってくるグループと。それから、今度卒業して、脳外科の事をちょっと知りたくなってくる人と。脳外科のことが本当に好きで、職場に入ってくる人。この三つくらいに分かれるのだけれども。やはりね、今は国もようやく気付いて。医師はやはり過剰になってきますよね。

 日本全国で医師が感情ではなくて。やはり、自分たちが生活するのに便利な地域というのは、おそらく人口が多いところでしょう。そこに、集中をしているということと。これはね、決してある企業を批判しているわけでは無いのだけれども。医者が自分の権利を非常に強く主張するようになって。これはもう、臨床研修制度が始まった途端にそうなったのですけれども。

 例えば今、ネットで見れば、当直なしで高収入が得られる職場を紹介しますとか。そういうのはいっぱいありますよね。でも、そういうのばっかり追い詰めて、そういうものばかりを、自分の希望としてね。やっていくと、じゃあ、あなたが学んできた事を、どうやって還元しようと思っているのと。

 もちろん、それはそれで良いのだけれども。結局、医療のほとんどは、国民が納めた健康保険料と国の税金もだいぶ入っているのでね。ちょっと無駄な所がありますよね。なんだけれどもやはり、医師個人個人も開業をするのは自由だし。何かをやるのも自由だし。どこに住むのかも自由。という中で、どうやってバランスを取っているのかという事ですよね。

 僕らの頃はもう気合で勝負。だから、自衛官と同じ仕事。でも、今は自衛官は違いますからね。気合だけで勝負しないから。

《 加 》 そうなのですかね。

《 松 》  だから、古い時代のちょっと古い教授たちが気付かなかった所をね。やはり臨床研修制度をもってこられて、だいぶ変わってきましたよね。なのだけれども、やはりちょっと学生さんや若い先生たちも、別に脳外科って3Kな職場では無くて。僕はね、3Kというのは逆に取っていて。華麗でキレイでかっこ良いっていうのが、脳外科なのですよ。

 うちの職場はそうしようと思っていて。だから、そういう風にして。これもね、人がいっぱいいないと、生活のクオリティを高めて、それをお客さんに還元する事は出来ない。ギリギリの状態で働いていても、やがて医療ミスは起こるだろうし。色々な実害が患者さんに起きてしまう。だから、結果としては、さっきも言ったように、少し集約化してくるんもですよね。だいぶ。

《 加 》  そのお話を聞くと、ますますこう前線の診療所と、こう基幹病院って、僕らが頑張らなければいけないなという。

《 松 》  そう、そうなのです。ですから、ある程度、絞られてくると。今度は地域的に。患者さんが住んでいる所と、病院が遠くなる人もいっぱい出てくるので。それをじゃ、最初に手術を受けた所で全部診るのかというと、それはありえないんもで。やはりアクセスが良い所に。そこで良い先生。元脳外科の先生が開業をしていてくれるというのは、非常に重要だと。そういう風に思いますよね。

 それから、脳外科をやっていたってずっと、毎日CTに患者さんを運んだりね。何か辛い24時間、夜中に手術をしたりだとか。そういうのだけでは無くて、一般医科として開業出来るという事も、ちょっとのアピールのポイントにはしたいと思いますね。結構多いですよ、今ね。

《 加 》  本当はやはり脳外科医というのは、ちゃんと手術をする先生だと思うのですけれども。その中でも、やっていて色々と気持ちの変化というのは、何か自分がやりたい事というのは変わってくると思いますし。その中で、診療所。患者さんとの普段の中で接するという事は、選択肢の一つとして、見せることが出来ればなと思いますね。

《 松 》  そうですよね。たまたまね、ここが一階だから言うのではないのだけれども。脳外科って一階にいるのですよね。だから、道路からすぐに入ってこれるのですよね。これはね、凄い専門性を追求する、心臓血管外科と絶対違うところなのですよね。心臓血管外科は1階で、心臓の内科の先生が患者さんを最初に診て。手術が必要な人は、2階へどうぞと上げるのですよ。

 ところが、脳外科は、1階も2階もいる。両方で働いている。だから皆、1階で働いている経験があるから、だから、一般医科さんとして開業したいと。出来る。そういう選択肢がね、一つできるのが特徴なのですよ。

《 加 》  幅広いのですね。

《 松 》  幅広いのですよ。もう幅広さをね、脳外科はなんでもっとアピールしないのか。

《 加 》  そうですね。やはりこう、なんか医者は何か選ぶ時って、自分が本当にやりたい事って見えてない時もありますもんね。やりながらわかってくる事もありますよね。

《 松 》  でしょう。例えば都内に行けば、睡眠時無呼吸だけを診ている人とかね。それから、この前、後楽園球場の前に行ったらね、下肢の動脈瘤センターというのがあるのね。あれはたぶん、心臓血管外科の出身の人がやっているのだろうと。それも、超スペシャルですよね。でもそれは自分が、そういう風にこう腕がそれで良いから、ちゃんとそれでやっていて。それはそれで良いと思うのですよ。

 やはりね、都内は。そうでもして、特徴を出さない限り、普通のことでは患者さんはなかなか集まらないわけですよ。それのね、現われの一端がね。そういう超スペシャルな競合の仕方というね。正式な競合科では無いのだけれども、やっているのだなと。だから、極端な田舎と極端な都会の、真ん中のここの地というのは、丁度良いのですよ。

《 加 》  まぁ、これからモデルにされる地域でもあるわけですよね。

《 松 》  そう思いますよ。神奈川県の中でも、ちょうど真ん中にいるからね。地域のバランス的に。そして、地理的にも真ん中でしょう。

《 加 》  そうですね。そういう話を伺うと、頑張らなければなという気持ちになってきましたのでね、はい。

《 松 》  頑張らなくても良いから、自然体で。

《 加 》  自然体で、はい。今日はどうも、貴重なお話をありがとうございました。

《 松 》  ありがとうございました。

《 加 》  はい、いかがだったでしょうか。皆さんの何らかのお役に立ちましたら幸いです。

相武台脳神経外科
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