こんにちは、相武台脳神経外科の加藤貴弘です。今日は平成27年12月5日の土曜日です。
今日は、診察中に2人の患者さんに同じ質問をしてみました。
アフリカの草原に車で行って、同乗者の方が「車から、ちょっと降りてみよう」と言いました。
ドアを閉めて、着てる服は普通のジーパンとかTシャツで、銃とか武器のようなものは全く持たずに、そのまま車から10メートルぐらい離れて歩いてたところで、100メートルぐらい先にライオンやチーター、なんでもいいんですけど肉食の強い動物が歩いてるのが見えた。目が合ってしまった、と。その状況で、ご自身はどういう行動をされますか?ということを質問させていただきました。
40代の女性の方は、すぐに車の中に逃げるという答えをされました。もう一方の50代のサラリーマンの方で、朝から晩まで会社のために働いて、企業戦士として働いて今精神的にも肉体的にもいっぱいいっぱいで行き詰まってる方にも、そのお話をしたんですけれども、その方はとにかく動かない、ライオンが行き過ぎるのを待つということでした。
けども、目が合ってしまっているので、ライオンがもしお腹が空いてたら襲いかかってく可能性があるわけで、車まで10メートルしか離れてないので、虎までの距離が100メートルあれば、どんなに足が速い虎でも、すぐに車に戻ればなんとか安全地帯にいけるのかなっていうことはあるんですけれども、やはり命が助かるために、僕自身はそういう状況であれば逃げるという選択肢をとるんじゃないかなと思います。
ずっと会社のために頑張ってこられてきた方にとって、頭の中に逃げるという選択肢がなかった。僕がその答えをいうと「逃げてもいいんですね」ということだったんですけれども、どんなに辛い状況でも逃げるという選択肢を頭になくして日々生きてるという状況で、戦い続けててボロボロになってる精神状態なのかなと思います。
それは、毎日毎日頑張っていろいろお仕事されてるので、そういうことになったのだと思いますけれども、もうひとつ僕自身が思うのは、やはり平和な日本という文明社会で生きていると、生きてて当然という自分の中での頭の常識が入っちゃってて、生きてて当然なのに病気になってしまった自分って、なんて不幸なんだろう、こういう環境が悪いんだ、環境のせい、なんで俺はこんなに環境にいじめられなきゃいけないんだって被害者意識になってしまうんですけれども、生きてて当然ということは、大きな目でみると違うのかなと思います。
そもそも生まれたこと自体が奇跡的なことですし、日本の歴史を見ても江戸時代は平和な時代でしたけれども、なかなか病気とか戦争が多かった時代とか、江戸時代が明けて明治維新になっても、たくさん戦争を日本人はしてきましたし、なんらかの形で命を脅かされる状況というのも、かなりあったと思います。
世界的に見れば、戦争している国は多いですし、戦争してない文明国でも、金曜日の夕方に夕食を楽しんでるときに爆弾テロがあったり、いつ命が脅かされてもおかしくない状況に晒されてる方というのは非常に多いです。
その中で、夜誰かに命を狙われることもなく、暖かい布団でぐっすり眠れる。今日も、とりあえず生きて仕事ができるということの素晴らしさをまず、サバイバルしてる、生き残ってるんだという感覚が頭に入ると、今の状況というのは、すごい素晴らしんだということはあります。
その中で、その環境が自分のキャパシティ以上のことを求めてくるのであれば、やはりそこから離れていくという発想も出てきて、サバイバルして生き残っていけば、また自分の能力を一番パフォーマンスを上げられる場所で上げていけますので、いい方向性に向いていくのかな、と。
そこでベースとなってくる、自分自身の気持ちというのは、今現時点で生き残ってるんだという感覚、サバイバルしてるという感覚があると、こういう厳しい状況でも、今日も生きることができた、おかげさまで生き残ることができたという感覚をもつと、いろんな苦しい状況の打開点というか逃げ道というか行き先が見えてくるのかなと思います。
生きてて当然というふうなことを頭で思った瞬間に、いろんなことが自分に対して悪い影響を及ぼしてるような被害者意識に結びついてしまうので、そこの頭の中のチェンジをすると考え方を切り替えていくと、非常に状況が打開できるのかな、と。
100メートル離れたライオンと目が合ったとき、生きてて当然と思えば逃げるという選択肢をとることができずに、そこにじっとしていて下手すると食べられてしまいますけれども、生き残ってやるぞというふうな気持ちで、ライオンと目が合ったとき、ライオンまでの距離が100メートル、車までの距離が10メートルだとすると、10メートルの車に一目散で逃げるという選択肢は、やはりもてるのかなと思います。
自分自身の中で生きてて当然というふうな気持ちをもたないように、日々サバイバルしていくという気持ちで、一日一日を過ごしていけたらなと思いました。今日は以上です。
相武台脳神経外科
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