こんにちは。相武台脳神経科の加藤貴弘です。今回は、これだけは知っておきたい、頭痛のこと、第8日目になりますね。今まで、頭痛のメカニズムに関してお話しをさせて頂いておりましたけれども。その中で、今、社会問題化されつつある薬物乱用性の頭痛に関して、今回はお伝えしたいなと思います。
薬物乱用性の頭痛なんですけれども、このスライドにありますように、ガイドラインでは、一番二番三番のようなことを当てはまるような頭痛に関して、薬物乱用性の頭痛と言っています。まず一番、頭痛が1ヵ月に15日以上存在し、薬物を3ヶ月以上定期的に乱用している。医師の指導どおりではなくて、ご自身の判断でという事になってくると思いますけれども。あと、その元々の前よりも、薬物乱用してる間に頭痛の悪化が見られるような兆候が見られるような頭痛に関して、薬物乱用性頭痛と言われております。
この薬物乱用性頭痛の原因としては、先程も言いましたように、医療者側のかなり責任もあるんですが、昔その頭痛と言って外来を受診しても、適切な診断がされないということで、病院に行っても何も変わらないやということで、家での痛み、痛い時には、市販の薬を飲むと。市販の薬を飲む時に、大体経験的に痛くなる前に飲む、痛くなり始めの早い時期に飲むと良く効くという経験で、自分の中でわかってきてですね。段々、段々、それがひどくなって痛くなる前、痛くなりそうな時から、いっぱい飲むようになって。今、このスライドにありますように、段々、段々と薬を飲む回数が増えてくる。そうして今度、薬が効かなくなってくるという風になりますね。
中には、この市販の鎮痛薬の中に、無水カフェインとか物質も入っていますので、薬に対しての依存症というのも、被ってきてですね。薬を大量に飲むようになって、さらに頭痛の痛みは、薬で痛みは引き起こされるようになって、痛みに対して恐怖心も加わるようになってくると、どんどんこの悪循環がぐるぐる回ってしまうんですね。それで、どんどんどんどん薬を大量に内服してしまう、という頭痛のことを言っています。
これは前回、だしたスライドですけれども、やはり従来の偏頭痛治療に関して、利用者側の責任というのも一つあるんじゃないかなと思いますけれども。ここにありますように、頭痛発作が起こって受診されてもですね、僕らというか医療者というのは、今までの時代というのは、やはり医療が発達していく中で、医療というのは命を助ける機関だということで、救急外来が来られたら、その病気というのは命に関わるかどうかというのをまず知りたいわけなんですね。で、僕らは来た時の頭痛が命に関わるかどうかをまず診断しなければいけない。それを見逃すと命に関わって、本当に命に関わってしまうので、緊張感持って僕らずっと対応させていただくんですけれども。
そう言った時に、まずおそらく、診察させて頂いて、CTやMRIなどの画像検査をします。そこで、特に脳出血だとか脳梗塞、あるいは脳腫瘍などの専門的な治療が必要でない頭痛。一次性頭痛である、その怖い頭痛のことを二次性頭痛と言うんですけれども。二次性頭痛が否定されてしまうと、途端に、僕らは緊張感が解けてしまうんですね。で、医療者側の緊張感が解けてしまった、救急外来では緊張感が溶けてしまって、命に関わることはないから大丈夫ですよと言って、ここから偏頭痛の治療に行けば良いんですけれども。おそらく、受信される場合のほとんどは救急外来なので、そこで治療の必要性がないとかという言葉も、もしかしたら出るかもしれないんですが。大丈夫ですよということで、普通の鎮痛薬を渡されて、家に帰るということが何回も繰り返していくうちに、病院に行っても治らないやていうことで、医療機関に失望するんですね。
そうしていくうちに、市販の薬だけで我慢していくという、これもこういう悪循環になって、さっきの図の薬を大量に飲むような悪循環に陥っていくのが、今徐々に社会問題化されている薬物の乱用性の頭痛のメカニズムです。市販の鎮痛薬っていうのは、飲まれている方なんですけれども、ある統計によりますと、月に10日以上薬を飲んでる方というのが4.2%いるという試算が出てます。これを、片頭痛患者、例えば840万人に換算しますと、その4.2%というのが、数で言うと19万になります。さっきのガイドライン上で、月に10日以上、月に15日以上というか、月に10日以上飲んでみると、薬物乱用性頭痛の疑いが強いという事だったんですが。このように、10日以上飲んでる方が19万人いると仮定しますと、19万人に薬物乱用性頭痛の疑いが、今現在あるということなので。結構大変な問題だと思います。
では、先程から何回も言っていますように、そういう風な頭痛に陥る原因としては、きちんとした診断を受けていない、きちんとした適切な治療を受けていないというのが、大きな原因です。では、その対処法はちゃんとした医療機関でご相談されたと思うんですけれども、今偏頭痛に関して、偏頭痛を起こさないような予防のお薬が鎮痛薬とは別に予防の薬が今は発売されていますので、その予防の薬を飲みながら、徐々に鎮痛薬を減らしていくような手段をとることが多いですね。それは、担当の医者と、ドクターと相談されながら進めていかれることをお勧めいたします。
今回は8日目、薬物乱用性の頭痛に関しての話しをさせて頂きました。では、これで痛みの機序というかメカニズムに関しての話を終わらせていただきまして、明日からは、対処法ですね。対処法を一つひとつお伝えしたいと思います。今日は、どうもありがとうございました。
相武台脳神経外科
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