こんにちは、相武台脳神経外科の加藤貴弘です。今日は平成28年2月5日の金曜日です。
今日配信のYahoo!ニュースで、面白い記事があったのでご紹介したいと思います。
題名が「朝食なし。脳出血リスク36パーセント増。血圧上昇が原因か。大阪大学など」という題名で、時事通信の方から配信されているんですが、この題名だけを見ると、朝食をとってない方というのは、脳出血のリスクが増大してしまうのかなというふうな、医療情報として題名だけみると思ってしまいます。
ただ、どういうことかなと思って、この本文を読んでみるんですけれども、実際もとの論文を読んだわけじゃないんですけれども本文からすると、大阪大学のチームと国立がんセンターのチームが共同でアメリカの医学史に発表したということなんですが、日本全国の8県に住む45歳から74歳の男女82722人を1985年から2010年まで追跡調査されて、その中で脳出血を発症したのは1051人。
調査開始したときに、朝食回数を週に0回から2回しか食べなかったと答えた人が、毎日とる人に比べて脳出血になる確率が36パーセント高かったという事実を発表した論文だと思います。
この事実から、ここに買いてあるのは、朝食を欠食する、食べない頻度が高いほど危険性は高まるというふうに判断してるんですけれども、これが情報として本当かな?ということを意識して見ていかないと、落とし穴にはまるんじゃないかなと思います。
ここにある事実というのは、2つの事実があるだけです。ひとつは、朝食をとらなかった群と朝食をとっていた群、その中で朝食をとらなかった群の方が脳出血のリスクが高かったという事実がある。イコール、朝食をとらないということは脳出血のリスクをあげるかということになると、かなりその点に関しては疑問をもって情報を受け取る必要があると思います。
例えば、僕自身が風邪を引いて大変苦しんで、熱がでて3日目くらいに夜じょじょに食欲が出てきたから、牛乳をコップ1杯飲んで美味しかったなと思って、朝起きたら解熱していた、と。事実が2つあるわけです。
風邪を引いて2日目の晩に牛乳を飲んだという事実と、翌日解熱したという事実があるわけですけれども、だったら解熱を促したのはミルクを飲んだせいだったのかということは、科学者としては冷静に事実の関係性というのを考えなきゃいけないです。
状況としては、もともと病気の流れとしては3日目に熱が下がる流れになってたので、ミルクを飲もうが飲むまいが熱は下がってた可能性もありますし、もちろんミルクを飲んだということが熱を下げるひとつの要因になったという可能性はあるんですが、その事実だけでは2つをどっちかと言い切ることはできません。
今回のことも、朝食をとらなかった群の方が脳出血が高いということはわかりますけれども、これが本当に朝食をとらないということと脳出血が起こるということの事実が関係するかどうかというのは、それは科学的には照明されたことではないので、疑問符を投げかける必要はあると思います。
ただ報道の仕方なんですけれども、こういうふうに「朝食なし、脳出血リスク36パーセント増」って書くと、やはり知識のない一般の方というのは、朝食をとらなければ脳出血は増えるのか。では、朝食をガツガツいっぱい食べようという思考回路になってしまって、もしかしたら朝食と脳出血とは関係ないかもしれないのに、すごいデタラメな情報を発信してるということになります。
なので、情報を発信するという人は、その情報の正確な意味をちゃんと捉えて発信者、特に時事通信とかそういう大きい会社であるならば、もうちょっとプライドをもって品をもって情報を発信していただいたらなと思うんですけれども、ただこの論文からは、朝食をとらないということと脳出血ということの関係性はどこにも書いてないわけで、ただ単に脳出血した人は朝食をとってなかったという事実があるだけで、そこは誤解ないように発信する必要があるのかなと思います。
僕自身の情報の捉え方としては、前提として朝食をとらない人というのは、日本人の中でどういう方が多いかなということを考えたときに、結構夜更かしして朝寝坊しがちで、学校行くにも朝バタバタして急いでいったり、あるいは東京近辺の方であれば通勤が非常に大変なのに朝遅く出て、すごい勢いで朝非常にバタバタして、本当いうとゆっくりスタートしなきゃいけないのに、いきなり起きた瞬間にバタバタして朝食を食べる時間もなくて、家から飛び出して通勤1時間、2時間経ったまま、揉まれながら会社まで8時に着くという生活を想像するんですけれども、朝食をとらないという方は結構夜も遅くて睡眠時間も少なくて、朝の時間はないという方が多いのかなと思います。
ということは、人間のリズムからいうと朝はすごいゆっくりスタートする必要が、もしかしたらあるのかもしれないですけれども、そのときにいきなりトップスピードにもっていってバタバタして、交感神経をいきなり優位にもっていかなきゃいけない生活を毎日してるのかな、と。
その結果として朝食をとらないということにもなりますし、血圧をあげるということにもなりますし、血圧をあげれば脳出血を増やしていくということにもなるわけで、朝食をとらないことが脳出血のリスクをあげるという事実に結びつくかというと、それはちょっとおかしな話なんじゃないかなと思います。
というのも、ヨガの世界では人間のリズムというのは、朝の時間帯というのは排泄の時間帯というふうに考えられていまして、ヨガの世界で元気で長寿で、歳をとってもエネルギー高く元気にされてる方というのは、朝それほど朝食をいっぱいとらない方が多いです。
排泄の時間なので、あまり食事せずに水分だけとか果物だけとって、昼もあまり食べないで夜しっかりとるというリズムをとってる方はヨガの方で多いです。
そういう方たちの中で脳出血が多いかというと、あまりそういう印象を受けないんですけれども、じゃあその方たちはなんで朝食をとらないのに脳出血が起きないのかというと、そもそもが朝ゆったりとした生活を、寝起きのスタートとしてしてるんじゃないかなというふうなことを僕自身は受けます。
なので、この情報を見る限り、僕の考えが正しいかどうかはあれですけれども、事実として言えることは、脳出血の発生と朝食をとらないということは、何の関係性も照明されたわけでないということです。
題名から、「朝食なし、脳出血リスク36パーセント増」とあるので、関係性があるように思うかもしれないですけれども、よく見ると何の関係性もないので、僕の個人的な受け取り方としては、朝食をとらない方というのは、朝スタートがかなり交感神経優位な形での忙しいスタートになっているせいで、結果として常時自律神経の中の交感神経が優位な状況が持続することによって、血圧が高い状態を引き起こしている。そして、脳出血を起こしやすい状況になるんじゃないかなというふうなことを、仮説として想像はしますけれども、脳出血と朝食をとらないということに関係性は事実としてはないと思います。
なので、そういう医療情報というのは、とても断片的に伝えると誤解を与えやすいので、発信者というのはプロ意識があるのであれば、、特に注意して発信する必要があると思いますし、僕らの読み手側も医療情報に関しては、本当にそうなのかな?というのをワンクッション置いて考えていくということは、とても重要なことなのかなと思いました。
今日、2月4日時事通信から配信されていたYahoo!ニュースを見て感じたことをお話しさせていただきました。今日は以上です。
相武台脳神経外科
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